誤解だらけの琉球藩の時代

琉球・沖縄の歴史で最も誤解されている琉球藩の時代について調子に乗って語ります。

続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 番外編5

現代の沖縄における独立論、あるいは自己決定権の議論は、ハッキリ言って「国会において普天間基地の辺野古移設反対、県外移設」に賛同する勢力が極めて小さい点に対するいらだちです。国会(特に衆議院)において多数派を確保できる可能性は極めて低いため、「いっそのこと独立して自分たちが多数派になっちゃえ」という次元の発想です。

もしも本当に独立したら、現在の日本の国体、すなわち「天皇陛下を中心とした国民共同体(天皇陛下の前では日本人は平等)」から離脱を意味します。これは革命を意味するのですが、果して独立や自己決定権を主張する面々はそこまでの認識があるか、極めて疑問に思わざるをえません。

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続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 番外編3

yasa

前回の記事において、現在の沖縄県が独立するための必要条件として

・戦後世代が抱える被差別意識を超える、琉球独立のための新しいイデオロギーの作成。

・東アジアにおいて中国共産党が冷戦に勝利すること

の2点を挙げました。それぞれについて説明します。

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続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 その4

King_Sho_Tai

もしも琉球藩が、日本国の帰属を離れて清国の外藩となった場合は、国際情勢と琉球の産業経済の現実から、最終的には清国の保護領になる可能性が高いことを説明しました。そうなると王国は形式のみとなり、国際的には琉球は清国の一部となります。その結果琉球社会がどのような変貌を遂げるかのシミュレーションを今回は行いませんが、少なくとも文化の継承と近代化の進捗には大きな影響がでることは間違いありません。

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続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 その3

King_Sho_Tai

前回の記事において、19世紀末に琉球王国が清国の外藩として半ば独立した場合、軍事と外交の負担に王国経済が耐えられず、やがて破綻してしまう可能性が高いことを言及しました。この記事に対しては「まるで北朝鮮じゃねぇか(笑)」という突っ込みがありましたが、それはさておき、今回は経済面について考察します。

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続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 その2

King_Sho_Tai

今回は、もしも琉球藩が日本の帰属を離れて、清国の外藩としての琉球王国が復活した場合をシミュレートします。政治的には慶長14年(1609)年以前の琉球国の状態に戻ることになりますが、17世紀初頭と19世紀末では、琉球国内の社会環境や国際情勢が大きく変貌しています。そのような状況で、慶長以前の状態に戻った場合、琉球王国の運営はどのようになるのでしょうか。

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続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話

Tsugumichi_Saigo

前回の記事において「琉球藩の場合は、おせっかい焼きの日本人が「同じ民族だから」ということで引き取ってくれたことです」と記載しましたが、今回は、頭の体操の一環として、もしも明治政府が琉球藩を引き取らなかった場合どうなったかをシミュレートします。歴史にイフは禁物なんて野暮なことは言わずに、調子に乗りまくって日本以外が琉球王国を引き取った場合を想定して記事にします。

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続・琉球藩の時代 朝鮮民主主義人民共和国との比較 その5

King_Sho_Tai

前回記事において、文久元年(1861)以降の琉球王府の役人の腐敗堕落の一例を掲載しました。その記事に対する反響は予想以上に大きく、この事実から現代の歴史教育において幕末期の琉球王国の惨状はタブー視されていることが窺えます。歴史教育の場において琉球王国の闇の部分を教えないのは止むを得ませんが、現代の歴史家までが一種の被差別意識に囚われすぎて、自国の黒歴史を直視しないのは好ましい状況とは言えません。

ちなみに、当時の王府の役人の腐敗エピソードは続きがあるのですが、さすがにこれ以上紹介するのは胸くそ悪くなりますので、今回は琉球藩と北朝鮮社会との違いを説明します。

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続・琉球藩の時代 朝鮮民主主義人民共和国との比較 その4

King_Sho_Tai

前回の記事において、琉球藩時代の官僚機構の腐敗堕落の一例を紹介しました。王国末期(あるいは琉球藩)の時代の官吏の横暴ぶりは、琉球の歴史を詳しく調べるとすぐに分かるのですが、現代の歴史家は殆ど触れることなく(華麗にスルーと断言したほうがいいかも)、琉球処分の不法を強調する傾向があります。

だからブログ主が、当時の実体を知って貰うべく、気分を悪くしながらまとめ記事として配信しているのですが、実は当時の王府の役人の腐敗堕落の極めつけの話がありますので、この場を借りて紹介します。

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続・琉球藩の時代 朝鮮民主主義人民共和国との比較 その3

凍土の共和国

前回の記事で、琉球藩と北朝鮮社会との共通点として「民間にお金持ちが見当たらない」ことを説明しました。今回はもう一つの共通点である「官吏の腐敗堕落が著しい」件を取り上げます。

1970年代において、北朝鮮のお役人の腐敗堕落が酷いなんて主張すると、それこそ朝鮮総連から猛烈なクレームが殺到し、それに便乗して日本の進歩的文化人からも猛批判を浴びるのが定例でした。ちなみに北朝鮮の社会の停滞と、官吏の著しいレベル低下を始めて世に明らかにしたのが、1984年刊行の「凍土の共和国」です。

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続・琉球藩の時代 朝鮮民主主義人民共和国との比較 その2

King_Sho_Tai

前回の記事において、琉球藩と北朝鮮では「支配者一族が、権威と権力と財を一手に握っている」ことについて記述しました。両者の共通点は、支配者階級内に儒教的な発想があること、家族主義的な考え方が根強いことによって、支配者一族に名誉や富が集中してしまう傾向が出てくることです。違いは、琉球王国の場合は「王国」ですので一族に社会のすべてが集中してもおかしくない政治体制ですが、北朝鮮の場合は結果としてそうなってしまったことです

その他の共通点を探っていくと、以下の2点があります。一つは「民間にお金持ちが見当たらない」ことと、もう一つは「官吏の腐敗堕落が著しい」点です。これらについて説明します。

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続・琉球藩の時代 朝鮮民主主義人民共和国との比較

King_Sho_Tai

今回から数回にわたって、琉球藩当時の社会と朝鮮人民民主主義共和国(以下、北朝鮮)との比較記事を掲載します。以前当ブログにおいて、現在の北朝鮮が150年前の琉球王国の状態と同じと記載しましたが、今回は真面目に「本当に同じ状態かどうか」と検証します。ちなみに前回の記載の内容は下記参照(当ブログ、琉球藩の時代 その9より抜粋)。

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続・琉球藩の時代 クズエピソード再考 その3

King_Sho_Tai

前回の記事で、島尻地方(沖縄県南部)の間切において、甘藷畑をつぶしてサトウキビを栽培し、黒糖を販売することで借金(宿債)を償却したエピソードを紹介しました。その結果、間切住民の食料である甘藷(唐イモ)が不足して、2~3月ごろにはソテツを食せざるを得ないという、まことに悲惨な状況になってしまいます。なぜそんなことになったのか、その理由は間切を領有する地頭と、実際に間切の行政を担当する「おえか人」(官吏)、そして百姓の間に「我々は同じ琉球人だ」という連帯感が全くなかったからです。

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