高校生失明事件の報道からついうっかり “社内カースト” に気がついてしまった件 ㊤

今月2日から5日にかけて、沖縄マスコミでは、今年1月27日に起こった、”高校生が大けが(失明)した案件” について大々的に報道しています。

事件のあらましは、沖縄市宮里で27日未明、暴走行為の警ら中に、通りかかった高校生に対し、職務質問を試みた巡査が、「不適切な職務執行」で高校生に大けがを負わせ、その結果、右目の視力を失なったとの内容で、今月1日に沖縄県警より被疑者家族に対して正式な謝罪と、巡査の処分について説明したと報じられています。

ブログ主は、今回の事件に対する沖縄2紙の “報道姿勢” に極めて興味を持ったので、対象記事をチェックの上、当運営ブログにて感想をまとめてみました。

まず、事件発生から沖縄県警による謝罪が遅れた件については、これはハッキリ言ってやむを得ないのです。この事件は、既に報じられている通り、当事者以外の証拠に乏しいため、警官の行為が「過失」なのか「故意」かの判断に時間がかかったこととが主因です。

※なお、「故意」とは「わざと」の意味ではなく、法律用語で「(自分の行為が)相手にとって不利益になることを承知の上で行為に及ぶ」ことを指します。

それと謝罪するにしても、巡査の処分について明言しなければなりません。今回は特別公務員暴行陵虐致傷容疑での書類送検という形で処分を行なったのですが、そこに至るまで慎重に捜査を進めた訳です。

そして何よりも重要なのが、謝罪の際に「隠し事がない」ことを相手側に理解していただく必要があります。県警の謝罪に対し、被害者家族は「事件から9カ月経過しての謝罪に遅すぎると感じた。謝罪されても失った目が戻ることはない。隠蔽されることなく捜査されていたことは安心した(令和04年11月03日付琉球新報1面)」とコメントしている通り、県警の説明に対し、「隠し事はない」と理解を示してます。

ちなみに、被害者少年と家族に対する謝罪に時間がかかったもう一つの理由があります。これはブログ主の推測ですが、もしも早期に謝罪をし、なおかつ沖縄署で騒動を起こした少年たちが検挙された場合、「(少年が)警察に仲間を売った」とのあらぬ噂、あるいは「お前のSNS発信のおかげで俺たちがとばっちりを受けた」との逆恨みによって少年に危害が及ぶ恐れがあったのです。事実、少年は県警に何度も呼び出されていますし、事件当日の被害者少年のSNS発信が沖縄署の騒動のきっかけになってますので、県警としても “噂の一人歩き” によって被害者少年に対して物理的な二次被害が及ばないよう配慮する必要があったのです。

今回の事件は確かに不幸な結果を生じましたが、沖縄県警のトラブルシューティングは “満点に近い合格点” といっても誤りではありません。事件に対して予断を抱くことなく終始 “公平(フェアー)” に取り扱い、そして被害者少年と家族に対し、「隠し事はない」と納得させたやり方は高く評価できます。

そしてもう一つ、今回の事件でブログ主が感心したのが、沖縄県警のマスコミ対策の “巧みさ” です。今回の事件に関して、沖縄県警は “やっていいことと悪いことがある” 点を大々的に示すべく、巡査を書類送検することで県警の姿勢を県民に周知させる必要があったのです。そして県警の意向に乗ったのが沖縄タイムス。同月2日には一面トップでこの案件を掲載しています。

※同日2日の琉球新報では高校生失明の案件は掲載されていません。この点については後に詳しく説明します。

ちなみに沖縄県警が、なぜマスコミを使って大々的に報道させたのか、その理由は下記記事をご参照ください。

沖縄署に投石 立件へ / 県警‐「捜査進んでいる」

バイクに乗った高校生が警察官と接触し、失明じた事件の発生後、沖縄署で起きた投石などの騒動について、県警は関わった若者らを器物破損の疑いで摘発する方針。2日に県警本部であった記者への「説明会」で、捜査1課の石川栄一郎次席は「鋭意捜査中で着実に進んでいる」と話した。

高校生が失明した事件直後、SNS上で「高校生が警察に警棒で殴られた」との書き込みが拡散した。1月27日から28日未明にかけ、沖縄署に若者約300人が集まって一部が署に投石し、正面玄関のガラス窓などを破損した。(令和04年11月03日付沖縄タイムス29面)

つまり、沖縄県警の本音は(ブログ主が調子に乗って推測すると)

被害者少年とはケリがついた。次は(沖縄署を襲撃した)お前らだ!

とマスコミを使って “警告” を発したのです。実際に検挙するかどうかは不明ですが、ブログ主は一連の報道から沖縄県警の “本気度” を痛感しました。

最後に、今回の案件で沖縄県警は沖縄タイムスをうまく使った感があります。同月2日1面の記事に、“捜査関係者の取材で分かった。” との文言がありますが、これは県警が沖縄タイムス記者に対し “便宜” を図ったことを意味してます。ブログ主の推測では琉球新報にも同様な便宜を図ったと思われますが、なぜか新報は乗らずに、タイムスが県警の意図を察して記事を作成した形跡があります。

つまり、この案件において、県警とタイムスは “つーかー” であり、それを知ってか知らずか、特大スクープと己惚れる記者がいたのはさすがにドン引きしたブログ主であります(続く)。

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