シンナー遊びの果ての……

本日はご存じの通りクリスマス・イブですが、この時期は例年当運営ブログにて風俗ネタを紹介しています。ただし今回は趣向を変えて “昭和の薬物” に関する記事を紹介します。

その理由は57年前のクリスマス・イブ(昭和43年12月24日)は、我が沖縄において初のシンナー乱用の犠牲者が出た日だからです。ブログ主は不定期に昭和の薬物関連の史料を蒐集していますが、今回紹介するのはその中でも第一級の記事であり、シンナー乱用がいかに恐ろしい結末をもたらすかが理解できる貴重な内容です。全文を書き写しましたので読者のみなさん、是非ご参照ください。

シンナー遊びの果ての自殺中学生首つり事件

一年前から常用 / 那覇署、事態を重視 ほかにも10人いる

青少年の間でシンナー遊びが流行のきざしがあるとして問題になっているが、さる二十四日那覇市内で、両親にシンナー遊びをとがめられた中学二年生の少年がシンナーをかいで、めいてい状態のまま首つり自殺をするという事件があり、沖縄でもついにシンナーの犠牲者を出した。事態を重視した那覇署が少年の学校を調査したところシンナー遊びの常習少年が十人もおり、その少年たちに誘われてシンナー遊びをした同級生も多数いることが明らかになり、関係者にショックを与えている。

自殺した少年は那覇市内のA君(十四)=市内中校二年生。A君は昨年一月ごろ、同級生からシンナー遊びを覚え、やみつきになり、こづかいやあきビンを売った金で、シンナーを常用していた。昨年九月ごろ、シンナー遊びが父親に発覚、「やめる」ことを約束したが、自殺するまでの約一年間毎日、保険飲料のビン一本分を使用、最近では顔色が悪く、顔にむくみが感じらえ、口臭もひどくなっていたという。そのためA君はことし十二月二十一日から学校を休み、それをとがめた両親が二十四日朝、学校に送り出したが、途中でシンナー遊びの仲間に会い、学校には行かずに二人でシンナー遊びをし、仲間を別れたあと首つり自殺したもの。手帳の切れ端に「おとうさんおかあさんごめんなさい」と書きとめてあった。

シンナーはビンにつめてかぐと酒に酔ったような状態になる。常用すると習慣性になり、精神障害や異常行動を誘発するが、とくに少年の場合は成長阻害や内臓障害を起こし、病気に対する抵抗力も減り、使用量によっては呼吸マヒで死を招く。本土では死者、精神障害者、またシンナーに酔った少年の殺人、強盗などの凶悪犯罪者も出ている。

警察本部防犯少年課(玉代勢正昭課長)では少年補導員協議会、学校・警察補導連絡協議会、職場・警察補導連絡協議会でこの問題をとり上げるよう各署に指示するとともに、とくに地域懇談会や講演会を利用してシンナー遊びの流行を食い止めることにしている。このほかシンナーを使用する事務所では少年従業員に対する指導管理を厳重にし、シンナー販売店でも青少年に売る場合、住所、氏名、学校、職場、使用目的などを十分確認し、使用目的があいまいでシンナー遊びに乱用される恐れがある場合は販売を控えるよう協力を呼びかけている。