とある Facebook の投稿に対する琉球新報社の態度について思ったこと

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3月16日の琉球新報朝刊の論壇に、3月9日の石嶺香織市議のフェイスブック(FB)上の投稿に関する乗松聡子さんの投稿が掲載されました。下記全文を参照ください。

~琉球新報 2017年3月16日 論壇 乗松聡子~

石嶺香織氏が恐れたこと

本質は島への実線部隊配備

宮古島市への陸上自衛隊配備反対を訴え、1月の補欠選挙で当選し市議になった石嶺香織氏がフェイスブック(FB)d9日、米国の海兵隊基地で陸自部隊が実弾射撃演習を行っている記事を共有しながら、陸自が宮古に来たら「絶対に婦女暴行事件が起こる」とコメントした。それが「自衛隊への侮辱」「自衛隊への差別」になるなどと、ネットで「炎上」が起こった。12日石嶺氏は「事実に基づかない表現でした。おわびして撤回いたします」などとの謝罪と説明の文書をマスコミに公表した。

石嶺氏の支持者の中にも「絶対に、というのは言い過ぎだ」という声があった。確かにそうだ。配備されてもいない陸自が何をするかなど誰も絶対の予測などできない。

婦女暴行は怒らないかもしれないし、起こるかもしれないのだ。米軍が起こす性犯罪と重ねたことが問題視されたが、実際に、小西誠著「自衛隊 この国営ブラック企業」(社会批評社)や防衛省の調査にもあるように、自衛隊における性暴力は頻発しており、また一般人に対する性犯罪も起こっているのだから、起こる可能性があることを誰も否定はできない。

つまり、石嶺氏がもし「婦女暴行事件が起こるかもしれない」と言っていれば、問題になるべきものではない。今回の石嶺氏のコメントは、まさしく「起こるかもしれない」という誰にも否定できない可能性に対する、宮古島の一市民として、1人の母親としての恐怖感が強い形で出たものであろう。私にも娘がいるが、夜娘を1人で外出させるのは怖い。親は心配しだすと最悪の事態を予想してしまうものだ。夜1人で歩いていたら悪い男にレイプされる!と思ってしまったとしてもそれを男性全体への「差別」とか「侮辱」とするのはお門違いであることに説明の必要はなかろう。

ただ、市議である石嶺氏がそのような恐怖感を公に口にすることがふさわしくないという声があるしそれも理解できる。だから石嶺氏は謝罪したのだ。気分を害した人たちに謝罪しているのに、それ以上非難するのは行き過ぎであり、これに便乗して離島の自衛隊配備に反対する市民の声をもつぶそうとする動きも見えてくる。自衛隊の名誉を汚しているとしたら誰よりもセクハラや、罪を犯した元自衛官たちではないか。

石嶺氏が情報共有していた日米合同演習「鉄の拳」は「離島奪還」を想定して行われていたのである。今回の件で、全国の人たちが、小さな島にこのような実戦部隊が来ることを想像する市民の気持ちに思いをはせるきっかけにしてほしいと思う。(カナダ・バンクーバー市、51歳)

この投稿の趣旨は「気分を害した人たちに謝罪しているのに、それ以上非難するのは行き過ぎであり」の一文に尽きます。大雑把にまとめると

  • 石嶺市議の発言は確かに不適切。
  • この件は1人の母親としての恐怖感が強い形で出た発言である。
  • 市議(政治家)にふさわしくない発言だったので謝罪した。だからこれ以上非難するのは行き過ぎ。

になります。この考え方はおそらく琉球新報社の本音と判断しても間違いではありません。大手新聞社にはよくある話ですが、公にはできない新聞社の本音を「論壇」あるいは「読者の声」として掲載し、事実上の新聞社の立場を表明することがあります。今回の乗松さんの投稿もそのパターンになります。

そうすると、去年10月の土人発言とは全く異なる立場を表明したことになるのですが、新報社は

  • 自衛隊に対する侮辱的な表現は表現に対して誤ったらそれでおしまい。
  • 自衛隊の名誉を汚しているのはセクハラや罪を犯した元自衛官たちであり、石嶺市議の発言は自衛隊の名誉を汚す行為にはあたらない。

と判断していると考えられます。以前にも記載しましたが、もしも保守系の県議が「県内の反戦基地平和運動には極左活動家が関与していて、彼らは絶対に婦女暴行事件など違法行為を起こす」などと発言したら、それこそ蜂の巣をつついたような大騒ぎになって連日の非難キャンペーン→県民大会の流れになることが容易に想像できます。

 自衛隊に対してはどれだけ侮辱的な表現を使っても謝罪すれば終わりという県内マスコミの(公にはできない)本音はどこから来るのかを考えたところ、おそらく1970年代の復帰当初の沖縄県における自衛隊受け入れ時のゴタゴタがきっかけと思われます。次回からは当時の自衛隊に対する革新陣営の対応について記述します。(続く)

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