閑話 元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件について思うこと 1

4月29日にうるま市の女性会社員が行方不明になった事件は5月19日に元海兵隊員の軍属が死体遺棄容疑で逮捕されるという最悪の結果になりました。ブログ主も沖縄県民ですので「またか(怒)」と思わざるを得ません。60代以上の県民なら1955年(昭和30)の由美子ちゃん事件を思い出したことでしょう。由美子ちゃん事件から60年以上たっても米軍関係者による暴行殺人事件が発生することに関しては、残念この上ないと思わざるを得ません。

ただしひとつだけ腑に落ちない点があるのです。沖縄県議会が今回の事件に関して抗議決議を採択しましたが、抗議決議の要請で「普天間飛行場を閉鎖・撤去するとともに県内移設を断念すること」の項目があることです。今回の事件は確かに米軍属が起こした凶悪事件ですが、普天間基地の撤去と辺野古の問題とは無関係です。なぜわざわざ抗議決議に上記の一文を挿入する必要があるのでしょうか?

抗議決議の内容は以下記載します。

4月下旬行方不明になっていたうるま市の女性が遺体で発見され、元海兵隊員の米軍属が去る5月19日に死体遺棄容疑で逮捕されるという凶悪事件が発生し、県民に恐怖と衝撃を与えた。

元海兵隊員の米軍属によるこのような蛮行は、県民の生命をないがしろにするものであり、断じて許されるものではない。遺族の悔しさや悲しみははかりしれず、県民からの激しい怒りの声が噴出している

本県議会は、米軍人、軍属等による事件・事故が発生するたびに綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に強く申し入れてきたところであり、ことし3月22日には那覇市で発生した米軍人による女性暴行事件に関する決議書を可決し厳重に訴えたばかりである。それにもかかわらず、またもやこのような事件が続発したことは極めて遺憾であり、米軍における再発防止への取り組みや軍人・軍属等に対する教育等の実効性に疑問を抱かざるを得ない.

よって、本県議会は、県民の人権・生命・財産を守る立場から、今回の事件に対し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。

1 日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと。

2 日米首脳において沖縄の基地問題、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するための対応を協議すること。

3 普天間飛行場を閉鎖・撤去するとともに県内移設を断念すること。

4 在沖米海兵隊の撤去及び米軍基地の大幅な整理・縮小を図ること。

5 米軍人等を特権的に扱う身柄引き渡し条項を含む日米地位協定の抜本改定を行うこと。

6 米軍人・軍属等による凶悪事件発生時には、訓練と民間地域への立ち入り及び米軍車両の進入について一定期間禁止する措置を講じること。

上記の通り決議する。

平成28年5月26日  沖縄県議会

沖縄県議会が採択した抗議決議を読み直すと、3と4の項目がなければ至極全うな内容です。この項目は今回の事件を政治利用すると誤解されてもおかしくありません。ハッキリ言って不要です。

仮に米軍が撤退しても今回のような死体遺棄事件は起こりうるのです。今回の事件でブログ主が真っ先に思い出したのが1996年に起こった羽地中学女子学生の行方不明事件です。そのときに逮捕された容疑者は米軍人・軍属とはまったく関係ない県外人です。羽地中学の女子学生行方不明事件を政治的に利用した動きは一切ありません。

残念ながら犯罪行為を完全に撲滅することはできないのです。そのため再発防止に有効な方法は

1 夜に一人で外出しない。

2 危険なところには近寄らない。

という基本を忠実に守るしか方法はありません。それでも犯罪行為は発生します、ただし今回のような痛ましい事件が激減すること間違いないのです。抗議決議に賛成した議員さんも普天間基地が県外に撤去されて、米軍基地が大幅縮小すれば凶悪犯罪が減少する、あるいは今回の事件をきっかけにして普天間基地の県外移設が即時実現するとは思っていないでしょう。にもかかわらず何故米軍人・軍属の事件を政治的に利用することが習い性になってしまったのか、この点について歴史的に考えていきます(続く)。

 

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