県民投票をめぐる一連の騒動に関して思うこと

平成31年2月24日に実施予定の”辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票(以下県民投票)”において、すでに地元マスコミ等で報じられている通り、宮古島市、宜野湾市、沖縄市が不参加を表明しました。

この案件は当初ブログでは取り上げるつもりはなく、その理由はブログ主が法律の素人でうまく説明ができないからですが、良かれと思っての企画が結果的に悪い方向に進む典型例でもありますので、この点を中心に記事としてまとめてみました。読者のみなさんぜひご参照ください。

県民投票を実施すること自体は問題ない

まず今年の2月24日に実施予定の県民投票は、「辺野古」県民投票の会の活動により地方自治法のルールに従って獲得した正当な権利であることです。具体的には地方自治法74条の規定にのっとり、平成30年10月31日に沖縄県議会で条例として可決していますので、県民投票を行うことに関しては全くといっていいほど問題ありません。

今回問題になっているのは一部の地方自治体の参加拒否、具体的には県民投票条例の第13条の項目で、県民投票の施行者である県知事が業務の一部を地方自治体に委任する規定になっていますが、地方自治体の議会はその要請を拒むことができることです(地方自治法第252条2項3には市町村の長は議会の議決を経て…と記載されている)。

ちなみに県民投票の委任事務を引き受けるための予算案を議会が否決すると、市町村の長は議会に「再議に付す」ことができます(地方自治法177条第1項)。問題は再議でも拒否された場合、市町村の長がとるべき行動は2つあって

①地方自治法177条第2項により、市町村の長の権限で予算を計上して支出する。

②議会の議決を尊重して、県知事からの業務委任を拒否する。

で、仮に①を選択すると、市町村の長は議会との軋轢が決定的になります。試しに地方自治法177条をご参照ください。

第百七十七条 普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
一 法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費
二 非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費
○2 前項第一号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その経費及びこれに伴う収入を予算に計上してその経費を支出することができる。
○3 第一項第二号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決を不信任の議決とみなすことができる。

上記引用からお分かりの通り、市町村の長の権限で県民投票の予算を計上した場合、議会はそれを拒否でき、しかもその議決が「不信任の議決」と同等の扱いになることです。これは怖い。そうなると市町村の長は議会を解散するか、失職の2択を迫られます。それゆえに地方自治の混乱を避けるために県民投票条例第13条の規定による業務委託を市町村の長が拒否することはやむを得ない選択なのです。

つまり県民投票を実施するにしても、一部市町村が業務委託を拒否しても、現行の地方自治法では全く問題がなく、ハッキリ言って大騒ぎする案件ではないことを理解していただきたいのです。一部自治体で投票が行われなくても、条例に従って粛々と県民投票を行えばいい、ただそれだけの話です。

なぜ全県一致での投票にこだわるのか

「辺野古」県民投票の会や沖縄県、およびマスコミ等では「全県一致」での開催を強く望んでいますが、ブログ主が案ずるに推進派は一部市町村が県民投票の業務委託を拒否することを想定していなかったと思われます。

前述のとおり、県民投票は地方自治法のルールに乗っ取って勝ち取った権利ですので、一部自治体が不参加であろうが実施すべきなのです。「残念ながら…」で済ませばいいものを、全県一致での実施にこだわる理由がブログ主には理解できません。

はたして全県一致で開催しないと不都合な何かがあるのでしょうか。直近2つの沖縄県知事選挙で「普天間基地の辺野古移設反対」を公約に掲げた候補者が当選していますので、沖縄の「民意」は移設反対と見做しても差し支えありません。それなのに今更「住民に直接賛否の是非を問う」ための行動を起こし、しかも一部市町村が不参加を表明すると大騒ぎをする。ハッキリ言って県民投票を推進する人達の”目的”を疑わざるを得ません。

良かれと思っての行動が……

県民投票に関する一連の報道に接してブログ主が痛感したのは、良かれと思っての行動が結果として悪い流れを引き起こしてしまったことです。つまり

①県民一致をアピールするつもりが、逆に沖縄社会の「分断」を強調することになったこと。

②宮古島や宜野湾市、そして沖縄市など一部地方自治体の行政を無用に混乱させてしまったこと。

③県民投票の執行者である玉城デニー知事のメンツをつぶしてしまったこと。

になります。目的が立派であれば結果が問わないのは世の活動家の常と言えばそれまでですが、もしも能力があれば今回の事態を引き起こした当事者は猛反省していただきたい。県民投票の実施に尽力した人たちにブログ主から送る言葉はこれだけです(終わり)

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