令和の時代のおける沖縄高校野球のトレンド

先月17日から開幕した第105回全国高等学校野球選手権記念沖縄大会(以下夏の県予選)について、ブログ主は25日の球陽vs首里(コザしんきんスタジアム)をはじめ、今日までに8試合を現地で観戦しました。

夏の県予選の本格的な現地観戦は令和元年(2019)以来であり、今年ひさびさにじっくり現地で観戦することで、令和の時代における沖縄の高校野球の「トレンド」が朧気ながら見えてきましたので、当ブログにて調子に乗って言及します。高校野球好きの読者の皆様、是非ご参照ください。

今年の夏の県予選の特徴は、一言でいうと「私学の躍進」であり、ベスト8に私学チームが4校進出は、バーチャル高校野球のデータが確認できる平成18年(2006)以降では初めてです。

実は、去年(令和04年)の夏の県予選で私学3校(興南、沖尚、KBC未来)が準決勝に進出したのは(ブログ主が知る限り)歴史上初であり、今年も3校が進出する可能性があります。つまり、平成の時代の公立強豪校である浦添商、中部商業、沖水などに代わって、新興私学3校(KBC未来沖縄、ウェルネス沖縄、エナジック)の台頭が著しく、公立の高校が県予選を勝ち進むのが厳しくなってきたのです。

では、なぜ我が沖縄で私立が急速に台頭してきたのでしょうか。その理由はいたって簡単で、

有望中学球児の県外流出を防ぐため

なんです。ハッキリいってそれしかありません。

中学球児の県外流出は興南高校の春夏連覇以降加速した感があり、県としても何らかの対策を取らざるを得ない状況でしたが、その解答の一つが私学の躍進であり、しかもそれが結構上手くいっているのです。

具体例をあげると、KBC未来沖縄は平成27年(2015)創部で、春の県大会優勝(2018)、夏の独自大会(2020)準優勝、そしてプロ選手を2人排出し、そのなかで宜保翔選手(オリックス、2018年卒)は1軍クラスの選手に成長しています。ウェルネス沖縄も平成30年(2018)創部も、今年の代が秋季大会(2022)準優勝、春季大会(2023)優勝、春夏の九州大会でそれぞれ1勝と十分な成績をあげています。

それはつまり県内に有望中学生の “受け皿” が増えたことを意味し、野球少年たちにとっては県内進学の選択肢が増えたわけであって、願ったり叶ったりの状況といえますが、逆にいうと施設も予算もそして練習時間も限られている公立の学校では極めて厳しい状況になったと言わざるを得ません。

だからといってブログ主は公立の学校がストレートに “凋落” するとは思えません。今年の夏の県予選における公立高校の試合を観戦した印象として、限られた時間と施設内で創意工夫をしてチームを作り上げてきたなという点があります。一例をあげると糸満ナインの “集中力の高さ” や球陽の守備力、北谷の投手力やコザの打力など、各チームが自らの長所を生かした魅力あるチーム作りをしているのです。つまり、私立に限らず公立の指導者と選手たちの “意識の高さ” がチーム作りに反映されているわけであり、それゆえに私立のチームもうかうかしてられない現状があります。

令和の時代の沖縄高校野球は、これまでの私学2強(沖尚、興南)でなく、4強(沖尚、興南、KBC、ウェルネス)に地域の公立強豪校(糸満など)が挑む構図になること間違いなく、お互いに切磋琢磨して野球界を盛り上げていってほしいと思う今日この頃です。

最後に、野球留学の加速化や、県内私学の台頭は “沖縄の特別感” が社会から急速に薄れていった傍証でもあり、それ故にブログ主は「歓迎」の立場ですが、県民の一部には一抹の寂しさや戸惑いを覚えるかもしれないと思いつつ今回の記事を終えます。

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