読谷の謎

今回も真面目な古りうきうネタをアップしますが、個人的には弄びたくて弄びたくてたまらない “読谷回” になります。現在の沖縄本島においては中部にもヤンバルにも属さない孤高の存在である読谷ですが(当社比)、『おもろさうし』が編纂された際は「浦添、北谷、読谷山」に分類され、11のおもろが掲載されています。今回はそれらの史料をチェックした上で、調子に乗って読谷の「語源」を考察しますので読者のみなさんぜひご参照ください。

まずは読谷のおもろ表記は「よんたむさ」あるいは「よんたもさ」となり、発音は juntamuza(ユンタムツァ)になります。もちろんこれだけでは意味くじわからん状態なので、対語をチェックするとさきよた(崎枝)とあり、意訳すると「枝(よた)のように伸びている陸地の先端(崎、さき)」となり、それはつまり残波岬のことを意味します。

そしてもう一つ対語があり、それがおほきた(大北)です。これは地理的概念で意訳すると「首里から見て遠い北にある」を意味します。参考までにうらそえ(浦添)も対語としてなかにし(中北)とあり、「首里から北に中ぐらい移動したところ」になります。興味深いのが中北は地名として残っていますが(浦添市仲西)、大北は地名として残っていない点です。

話は少しそれましたが、「よんたむさ」とは対語から「首里から見て遠い北にある枝のように陸地の先端が伸びている処」になりましょうか。それを踏まえてよんたむさの品詞分解を試みると

よん:

たむ:たまわれ→たもうれ→たもれ→たもと転訛、意味は賜る、下さる

さ:座(ざ)で特定の空間。参考までに『おもろさうし』にはゑんさ(円座)というワードが登場します。

となり大雑把にまとめると「何かを授かる特別な場所」になります。問題はその何か(よん)ですが、古代において特別な場所で授かるものは “霊力”以外ありませんので、

よん=よたま(jutama):世魂、意訳すると国を鎮める魂

とみなして、よんたむさは「世魂を授かる特別な場所」と解釈できます。そしてその場所は間違いなく座喜味城跡です。ただし興味深いのは『おもろさうし』には「ざきみ」というワードが一度も登場しない点です。ちなみに登場する地名ですがおさ(宇座)、とけす(渡慶次)、せなは(瀬名波)、きな(喜名)など残波岬に近い地区ばかりが印象的です。

座喜味城については「護佐丸築城」というパワーワードがあるので攻防一体の名城とのイメージが強いです。が、実際に現地を訪ねてみると残波岬を一望できる風景から、古い時代は聖地として現地民から認識されていてもおかしくありません。なにより座喜味の方言読みはzacimi(ズァチ・ミ)であり、zaciはさき(saci)が転訛したもので間違いなく、ブログ主が勝手に推測すると座喜味の語源は「岬を見る場所」になりましょうか。

いかがでしょうか。今回は『おもろさうし』に掲載されているりうきう古語を使って読谷の語源を探ってみましたが、ただ残念なのは平成の宜野湾方言では読谷のことを

ポルシェとかざんしろ

とか発音しますので、過去に残白で何度か涅槃に逝きかけたブログ主からはちょっと寂しい思いをしつつ、今回の記事を終えます。