室井佑月さんのコラムを読んで思ったこと

9月24日、琉球新報名物企画『日曜の風』に第四日曜日担当の室井佑月さんのコラムが掲載されていました。この企画は毎週日曜日に女性識者がコラムを掲載するのですが、確か第一日曜日が谷口真由美さん、第二日曜日が香山リカさん、第三日曜日が浜矩子さんで、第四日曜日が室井佑月さんの担当です。実に香ばしいメンツを揃えたなと感心しますが、ためしに室井さんのコラムの全文をアップしますので、是非ご参照ください。

~独裁者みたい 衆議院解散総選挙 室井佑月(作家)~

安倍首相は臨時国会の冒頭で衆議院を解散する方針を固めた、そう盛んにニュースで流れている。

新代表となり離党者続出の民進党はゴタゴタしている、小池百合子都知事が率いるなんちゃらファーストもまだ形になっていない。森友や加計学園の話を蒸し返されたら困るし、北朝鮮問題で支持率は上がった。解散に踏み切ろうとする理由は、そんなもんか。とことん、国民を舐めきった政権だ。

北朝鮮がミサイル実験をするたび、この国の危機を煽った安倍政権。なのに、選挙で政治空白をつくれるってどういうことなの?

北朝鮮がこの国の原発にミサイルを打つことがないとされているように、選挙中も絶対安全、大丈夫ってことなんだろうか?

北朝鮮の危機を煽れば、政権支持率が上がるからそうする。今、解散すれば勝てそうだからそうする。そういった動きの中に、国民への思いが、まったく見えてこない。怖いぐらいだ。

海外へいけば大盤振る舞いの融資を約束し、米国から武器を大人買いする。でも、安倍さんはこの国の弱者に冷たい。お仲間以外の、あたしたちには冷たい。

この国の6人に1人の子どもは貧困だといわれている。全国に増えつつある『子ども食堂』は民間ボランティアが行っている。そういうところにこそ国の金が投入されるよう政治が必要だと思うが、そうならない。

あたしは正直、国民は飢えているのにフセインのように斬首されるのが怖くて、ミサイル開発に金を突っ込む北朝鮮の金ジョンウンと、この国の安倍さんの、人間性の違いがわからない。

北朝鮮の人々は粛清されるのが怖いから、声を上げ、立ち上がらないといわれている。この国も安倍さんのすることに異議を唱える者が、「売国奴」だのレッテルを貼られたりするイヤな世の中になってきている。

しかし、安倍さんを支持する人は一定数いて、選挙にも強いんだよな。彼らはなにを考え、この国をどうしたいのか?

一見突っ込みどころ満載のコラムに見えます。当初はどこから突っ込もうか思いっきり悩んだのですが、よく考えると、これって「ここまでしゃべっても大丈夫だろう」と当局を完全に信用しての発言であることが分かります。言わば“形を変えた体制賛美”のコラムで、室井さんは“ここまでなら大丈夫”というギリギリのバランスを取るのに長けた優秀なコメンテーターと思われます。北朝鮮では“反体制的なコメンテーター”はとっくに絶滅しています。言論の自由が高いレベルで保障されている日本だから彼女は“反骨のコメンテーター”の芸風で名前を売ることができるのです。

言論の自由は、権力者が民間を信頼しないと成り立ちません。ちなみに沖縄で高いレベルで言論の自由が保障された社会は、昭和47年(1972)の本土復帰以降の五十年足らずです。ブログ主は『日曜の風』などの“反体制風味の芸人”のコラムや記事を参照するたびに「本土復帰してよかったなぁ~」と感慨を新たにします。

だから“琉球独立”はダメです。独立後に現在の高いレベルで保証されている自由が維持されるのか不透明だからです。そのことにうすうす気がついているので大多数の本当の沖縄在住の市民は独立論を信用しないんだろうなと思いつつ、今回の記事を終わります。

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