ロックとコザ(1994)川満勝弘(愛称:カッちゃん)編 – マヤー回(その1)

□マヤーの肉 昔、私たちが借りているライブハウスの家主の奥さんが「カッちゃん、馬肉とか、牛肉、豚肉たくさんあるけど、うちのお父さんがね、内臓(腎臓の病気)には🐈の肉が効くっていうから。那覇の市場に行っても🐈の肉は売ってないのよ」といいだしたんです。それで私は「何、🐈食べるわけ」と聞くと、奥さんに「あのね、どこにも売っていないから、あんたなんか鶏も蛇も食べるさね、だからあんたなんかだったら🐈も料理して持ってくるんじゃない」といって頼まれてしまったわけです。

私は「アイヤー・ナー・デージ・ナトーン、エー、エディー(ああもうたいへんしているよ、おいエディー)」と困りながらも、「マヤー(🐈)って、どんなマヤーでもいいんですか」と聞いて引き受けてしまったんです。

私が「エー、マヤー・ンディ・イーシェー・アリヤク・トゥ、一応・クルサン・トー・ナラン・シェー・ヤー。ヌーガ・ワッター・ウング・トゥー・スンディ・ウムラッ・トォーラ・ヤー(おい、🐈っていうのは一応殺さないといけないよな。なんで俺たちはこんなことするって思われているのかな)、

本当は良い人たちだけどな僕らな。

ヤー・エディー・ヤー(なあエディーな)」というと、エディも「うん、ヤンドー(そうだよ)」といって、「ヌーガ・ワッター・誤解・サッ・トォーン・ドー・ムル(なんでか俺たち全部、誤解されているぜ)」というふうに私たちは話していました。

🐈というのは敏感ですから、「とりあえず捕まえて。カチミー・シェー・ターガ・ガ?、ワン・ガ・カチミー・サ、アン・シェー(捕まえるのは誰がやるか、俺が捕まえるよそれなら)」とすばやいから私が捕まえることになって、「アンシー・ネー・ヤーヤ・テー、車ヨ、ヨンナー・ヨンナー(それならおまえは車をゆっくりゆっくり運転して)、中の町通りでもどこでもいいよ、ゲート通りでも。運転席は閉めて助手席の窓だけ開けておけ、あとは全部閉めておけよ。もうカチミ・レー・カラ・シグ・トゥッティ・ナギー・クトゥ・ヤー、アンシー・ネー・シグ・シミリ・ドー(捕まえたらすぐ車の中に取って投げるから、そしたらすぐに窓を閉めろよ)」という計画を立てました。

そして、ライブハウスが終わって夜中の二時ごろにビルディングの間を歩いて行ったんです。だいたいビルとビルの間にちりを置いてあるから、その辺にガサガサしている🐈がいるんですよ。すると、やっぱり🐈が二匹ぐらいいたんです。それで、みんなバックして歩いてきて「ヤッサー・ヤー(🐈だな)」と見つけたんです。🐈も警戒心が強いので同じ動物の目を見たら、ハンティングする目とハントされる目というのと息を殺すような瞬間があり、🐈もまさかこういう人間がいるとは思わずに油断があったのか、パッと捕らえて「ウリッ(ほら)、ヤー(おまえ)すぐ閉めてくれ」とその🐈を車の中に投げ入れたんです。

「はい、砂辺の海岸に、砂辺の海岸に」といって車を走らせたら、🐈はもう「ミャーオ・ミャーオ」と前と後ろをとびかっているんですよ。「アイ、デージ・ナトォーン。マーンカイ・ウガ、マヤー、エー。デージ・ナトーン、砂辺ンカイ、砂辺ンカイ(あれ、たいへんしている。おい🐈はどこにいるか。たいへんだ、砂辺に行け、砂辺にいけ)」といって、そんなして砂辺に着いたんです。

それでも🐈はもう車の中でこうしているわけですよ。ようするに🐈は「誰かが私を捕まえた。投げられて痛い。あれ、ここはどこ。人間がいる。あれ、狭い、狭い。出られない、出られない」と密室になってパニック状態になっているわけです。「今さっきまでおいしいの食べていたのに、何でこんななっているわけ」と思ってたいへんだったはずですよ。(続く)

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