【高校野球】現場の創意工夫

今回も高校野球ネタですが、今回は趣向を変えて「ブログ主はどのような視点で現場観戦をしているか」をテーマにした記事を作成しました。たとえば「甲子園で優勝できるか否か」を判断基準にしたり、ドラフト目線で観戦したりと、楽しみ方は人それぞれですが、ブログ主は「現場の創意工夫」の観点から高校野球の現場観戦を楽しんでいます。

具体的には、高校野球の現場は時間、施設、そして人材の制限がありますが、その限られた範囲で最善の結果を出すべくどのようにチームを仕上げてくるかを見ると、現代の高校生の “意識の高さ” には感心するほかありません。しかも去年から導入された「新バット」の影響で “脳筋野球” が減少し、ますます現場の野球が面白くなっている傾向があります。

参考までにブログ主が一番印象に残っているのが、令和6年(2024)7月14日に行われた全国高校野球選手権沖縄大会(準々決勝)、ウェルネス沖縄(表)と北山(裏)の試合です。この試合は地力に勝るウェルネスが優位に試合を運び8回終了時点で4-0とリード、そして9回表に3点を追加し7-0、そのまま試合終了かと思いきや、9回裏に北山が怒涛の反撃で5点を追加し、7-5でかろうじてウェルネスが逃げ切る辛勝となりました。

本来なら7-0で終わる試合がなぜ最後の最後までもつれたのか、その理由は(8回までの)北山の攻撃にあります。この試合の北山高校はワンアウト2塁の場面で必ず送りバントを試みツーアウト3塁の場面を作っていました。理由は2つ、長打力に欠ける北山打線ではワンヒットで2塁からホームに生還できない可能性が高かったこと、それとランナー3塁の場面を作ることで相手投手の心身のスタミナ消耗を図ったからです。しかもクソ暑い7月の沖縄で数回にわたりこのようなシーンを作り出すことで、ウェルネスのエース君はホントにバテてしまい、9回裏に降板させられてしまいます。

エースが降板した後のウェルネスバッテリーは悲惨の一言で、北山打線のハイパーフルボッコタイムが延々と続き、ブログ主も経験したことがない球場の異様な雰囲気のなか、最後は1年生投手(沖西くん)が無理やり試合を〆るというすさまじい展開になりました。

この話のポイントは(野球に力を入れてない普通の)公立校のチームが「伏線回収」の戦いを私学チームに仕掛けて、あと一歩で勝利するところまでこぎつけた点です。つまり大会が始まる前に「どうやって勝ち進むか」を彼らなりに真剣に考え、合意形成がなされ、そして本番の公式戦でそれを実行したのです。しかも北山高校だけでなく、他の高校も普通にそうやって公式戦に挑むので、私学強豪校もうかうかできない現状があります。

現実には “精度” の問題がありますので、事前に想定した通りにプレーできるとは限りませんし、実際にできなくて敗れるケースの方が多いのですが、それでもウェルネスに勝利した糸満高校や、KBCに勝利してベスト4に進出した宜野座高校など、私学強豪を倒すケースもままあります。つまり現代の高校野球の現場は(公立私学関係なく)昭和の時代とは “意識の差” が桁違いなのです。

昭和世代は「自分たちが現役だったころ」を基準に次世代(10~20代)を判断する傾向があります。だがしかし「自分たちはこうだったから今の若者も同じだろう」の目線は極めて危険であり、彼らに対して上から目線で語るのはもってのほかです。高校野球という狭い現場の事例から判断するのは乱暴かもしれませんが、ブログ主は現代の若者の頼もしさに感動しつつ、黙って彼らに沖縄の未来を任すべきだと確信して、毎回高校野球の現場観戦を楽しんでいます(終わり)。