”狙われたドン”(全5回)

”狙われたドン”(5)/ 住民パワー

二代目旭琉会会長が短銃2発で射殺され、警察は十時間後に犯人2人を逮捕。そして3日後の総長会では「これ以上の内部抗争はしない」という和解が成立した。事の重大さに比べて表面上は不気味なほど穏やかだ。最初からこの事件を画策した筋書きがあったのか。

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”狙われたドン”(4)/ 暴力団追放作戦

旭琉会の多和田真山二代目会長が射殺された9日、沖縄市の中の町社交業組合(伊佐彰一組合長)はその日のうちに緊急理事会を開いた。組合に加盟している店だけで380軒を数える中部地区最大の飲食店街。午前1時過ぎという時間はまだ人通りが多い。その真っただ中で発生したテレビドラマもどきの殺人劇。しかも舞台となったスナック「COOL」(クール)と組合事務所は目と鼻の先。組合員が街のイメージダウンを恐れたのも無理もない。伊佐組合長はじめ各理事は、客が寄り付かなくなるのを心配、対策を練ったが、救いは「一般住民にけががなかったことと犯人がすぐ捕まったこと」という。

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”狙われたドン”(3)/ 動機

主犯格の糸数真(27)=旭琉会富永一家幹事=は、逮捕された10日夜、捜査陣の調べに対して「多和田(会長)が憎くて殺した」と何度も繰り返した。

「なんで憎くなったのか?」

「真山(会長)が旭琉会の会長になって、ことし初めごろからあまりにワンマンで横暴で威張りくさって、自分勝手すぎたのでどんどん不満がつのり、このままでは、と思うようになって殺した」と犯行の動機を語った。

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”狙われたドン”(2)/ 多和田会長

県内の暴力団の中で、これまでにないほど、絶対的な力を誇示して来た二代目旭琉会多和田真山会長も、配下の組員の撃ち込んだ2発の銃弾にあっけなく倒れた。流血の抗争を繰り返して来たその歴史の中で、多和田会長自身も殺人を犯したが、やはり、穏やかな死は迎えられなかった。

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”狙われたドン”(1)/ 島(シマ)割り

県内各地で暴力団排除の市民運動が展開されているなかで9日未明、沖縄市上地のスナックで県内最大の組織暴力団、二代目旭琉会の多和田真山会長(49)が2発の銃弾で倒された。同射殺事件は、犯人2人の20時間ぶりの逮捕によって一応の決着がついたかにみえる。しかし、過去の暴力団抗争が示すように、この世界は「目には目を、歯には歯を」の世界。いつ何時、血で血を洗う抗争が再燃するか、予断を許さない。

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