俺が調子に乗って沖縄の高校野球の歴史を語るシリーズ その5

春の大会4位の美来工科は、県外では無名のチームですが、今年は投打に戦力を揃えて1979年(昭和54)以来の甲子園出場が手に届くところまでチーム力をアップしてきました。2010年の春のセンバツで嘉手納高校を率いた真玉橋元監督が「あのときよりチーム力は上」と断言されている通りの戦力を誇ります。

このチームは偶然にも秋の大会(対沖縄水産)と春の3位決定戦(対沖縄尚学)の試合を現地観戦しました。ゲームを作る複数の投手を擁して継投で勝ち上がるパターンが多く(もちろん完投能力もある)、打線は4番の強打者田崎くんを中心とした積極的な打撃が印象的でした。秋の大会では高めのボールを苦手にしている感じでしたが、春の大会ではストライクであればカウントお構いなしのフルスウィングで相手投手、あるいはディフェンスに対して大きな脅威を与えていました。

ブログ主が気になったのは、チーム全体に雑な印象があることです。沖縄尚学との3位決定戦では18本のヒットを放ちますが、なんと15安打まではすべてシングルヒットで、8回にようやくタイムリーが出たという実に意味不明な展開でした。沖縄尚学のディフェンス陣がすごく戸惑っていたのが印象的ですが、18安打もヒットを放って負けるのはやはり試合運びが雑だからです。

それとメンタル面でムラがありますね。調子に乗ったらイケイケで勝ち進むのでしょうが、調子が下り坂になった場合に持ち直すことが苦手のように見受けられました。3位決定戦は、前日の敗戦を引きずってしまった感があって、モチベーションを再びあげる前に負けてしまいました。

このチームには招待試合で大阪桐蔭と対戦して欲しかったですね。試合が雨天中止になったのは本当に残念です。大阪桐蔭のチームは圧倒的な打撃が注目されますが、一つ一つのプレーが実に丁寧なのです。元々素質のある生徒たちに基礎を飽きることなく反復練習させて身に付けさせている西谷監督は本当にすごいと思います。美来工科の球児たちは練試で大阪桐蔭の選手たちのプレーを体感して欲しかったのですが……。

過ぎたことを悔やんでもしょうがないので、このチームは春の大会で露呈した欠点をどこまで修正できたかポイントです。秋の大会はベスト16、春はベスト4と成績は良くなっていますので、夏の選手権も大いに期待が持てます。勝ち進む上での最大の山場は2回戦で対戦が予想される前原高校との一戦でしょう。秋の3回戦で完敗した相手にリベンジできるか、勝てば一気にベスト4まで進むと予想しています(続く)。

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