閑話 元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件について思うこと 3

2016年5月26日の県議会の抗議決議の採択はまさに沖縄県民の米軍人・軍属に対する感情を露わにしたと言えます。意外かもしれませんが決議を採択した議員さんは何らかの下心があって今回の事件を政治利用するつもりは無いと断言できます。「米軍人・軍属がトラブる→出て行け!」の発想で行動しているだけです。それ故に今回の決議には賛成する県民のほうが多いに違いありません。特にアメリカ軍の占領行政を経験している世代はほとんど賛成するでしょう。

ただし今回のケースでは沖縄の政治家の限界も露呈してしまうのです。「現実離れした過大な要求は結果として現状を維持する」ということに気がついていない(あるいは知らないふりをしている)のです。現実を全く無視した要求は当然実現性が限りなくゼロのため結果として米軍基地は存続して、社会の構造は何も変化せずに、一日一日が過ぎてゆく……ということになってしまうのです。故屋良朝苗氏のような極めて現実感覚に優れた政治家がいればうまく調整するでしょうが、現在の翁長雄志知事*は知事選の公約に囚われ過ぎている感が否めません。

*翁長雄志氏は1950年(昭和25)生まれでアメリカ軍の占領行政時を経験した保守系エリートです。保守本流を歩んできた彼ですら条件反射的に「米軍人・軍属がトラブる→出て行け!」の思考で行動するのがポイントです。

保守である自民党はもちろん、現実離れの要求を繰り返す革新勢力は形を変えた現状維持勢力のため、沖縄社会はすべて現状維持派という奇妙奇天烈なことに誰も気がついていないのです。この状態は沖縄県民にとって不幸この上ないのですが、納得させる術もないため現時点ではどうしようもありません(続く)。