閑話 2016年リオネジャネイロオリンピック・バレーボール世界最終予選を観戦して思ったこと その3

日本バレーが世界から取り残されている件に関してはバレーファンならご存知かもしれませんが、いくつかの実例を挙げます。2014年にゲーリー・サトウ監督を解任して南部正司氏が全日本の監督に就任します。その際所信表明が「レシーブ世界一」です(下記URL参照)。ただし2016年の世界最終予選では石川祐希選手のレセプションが崩れたときにブレイクされる傾向があったにも関わらず、メンバー交代等は行わずにそのままずるずると失点したケースが目立ちました。ポーランド戦の第二セットが好例です。

http://sports.yahoo.co.jp/sports/volley/japan/2014/columndtl/201402060005-spnavi?page=1

レシーブに難がある柳田選手のバックアッパーとして米山選手が控えていて、彼はその役割を十分果たしています。ただしもう一人のウィングスパイカーの福澤選手は何のために代表に選出されたのでしょうか?石川選手がレセプションで崩されているにも関わらずベンチでウォームアップしていましたが(笑)。ポーランド戦での第一セットでのプレーがあまりにも酷かったから石川選手が崩れても交代できなかったのが真相でしょう。彼を全日本に選んだ理由が本当によく分からないのです。まさかパナソニックの選手だからといって選んだとは考えたくないのですが……。

【追記】6月5日のフランス戦で、日本は前の試合でケガをした石川選手をスタメンからはずしてセッターも関田選手を起用する1.5軍の編成で試合を行いました。フランスはベンチメンバーをスタメンで起用するいわゆる2軍で試合に臨みます。試合結果は日本が3-0のストレートでフランスに勝利します。相手チームが2軍編成とはいえ国際大会で勝利したことは良かったのですが、福澤選手はこの試合でも出番がありましたっけ?イラン戦のアクシデントで体調万全ではない柳田選手が出場します。体調万全でない選手のほうを優先的に使わざるを得ないほど福澤選手のプレーが酷かったことを世間一般にアピールしてしまいますが、問題は何故そんな選手を全日本に選出したかということです。

所信表明で「レシーブ世界一」と表明したレセプションですら選手層が薄いにも関わらず、さらに日本バレーが最も苦手にしているブロックは全く改善がありません。1980年代からスパイクのスピードが人間の反射を超えているにも関わらず、レシーブ世界一を標榜しているのは素人目に見てもおかしいです。

世界はすでにディフェンス=ブロックで80年代にはリードブロックを導入したアメリカ男子チームが世界一になり、90年代にはバンチ・リードブロックを採用したイタリア男子チームが無双の強さを発揮します。リードブロックのシステムがあまりにも強力なため、そのシステムを破るために1992年のバルセロナ・オリンピックでブラジル男子チームが天才セッターマウリシオ・リマを擁して現在のシンクロバレーの原型のシステムを確立して戦い、遂には世界一になります。

世界のバレーは日進月歩ですがディフェンス=ブロックはもはや常識にも関わらず、未だに日本だけが「レシーブ世界一」を標榜してチームを構成しているのはもはや日本バレー協会および指導者たちが思考停止しているのでしょうか?しかもレシーブが世界一どころかアジアでもナンバー1ではないのですが(笑)。