閑話 2016年リオネジャネイロオリンピック・バレーボール世界最終予選を観戦して思ったこと その4

底辺まで落ちてしまった日本男子バレー(笑)が復活する見込みはあるのでしょうか?実は日本バレー協会は復活の目を自らの手でつぶしてしまった過去があるのです。2008年の北京オリンピックで日本男子バレーは出場こそすれもど一勝もできませんでした。その後に全日本監督の公募を行ったところ何と世界的な名監督であるフリオ・べラスコ氏*が手を挙げたのです。

*フリオ・ベラスコ:アルゼンチン出身のバレーボール指導者。バレーファンなら知らない人はいないほど有名な指導者。1990年のイタリア男子バレー黄金期の監督。

当時の全日本チームは2mクラスの選手を複数擁して、メンバー構成次第ではスタメン平均身長で197cm近くある大型のチームでした。2年前の世界選手権では8位入賞ですし、フリオ・ベラスコ氏が魅力を感じても不思議ではない面子がそろっていたのです。にもかかわらず日本バレー協会は当時全日本を指揮していた植田達辰哉氏を続投させます。この決断が大失敗だったのです。

ちなみにフリオ・ベラスコ氏はその後イラン男子チーム*の監督に就任して、イランチームを世界トップクラスのレベルに仕上げます。日本チームは2011年からイランチームになかなか勝てません(近年イラン男子に勝利したのは2015年バレーボールアジア大会決勝戦)。さらにベラスコ氏は母国であるアルゼンチンの男子チームの監督に就任しますが、現在日本チームはアルゼンチン男子に全く歯がたちません。2015年のワールドカップでも完敗します。

*2011年からイラン男子チームを率いたベラスコ氏は、イランチームを世界レベルに育て上げます。2012年のロンドンオリンピックには出場できませんが、2014年のワールドリーグでは4位、世界選手権は6位、2015年のワールドカップではいまいちな成績でしたが、今年の最終予選では6勝1敗の2位の成績で念願のオリンピック初出場を果たします。べラスコ氏が指揮したのは2011年から2014年までの3ヵ年ですが、イランチームを世界レベルにまで仕上げた指導力は高く評価されています。

せっかく世界的な名監督が立候補したにも関わらず、植田氏を続投させた結果、日本男子チームが苦手にしているチームを2つも作った挙句にロンドンオリンピックには出場できませんでした。当然植田氏は辞任します。これだけでも酷い話ですが、ここで話が終わらないのが日本バレー協会で、ロンドンオリンピック後に初めて外国人監督を採用するも、その後に予想の斜め上を超える醜態をさらけ出すのです(続き)。

 

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