組織暴力団 – 火を吹く抗争 ⑥ 資金源〈上〉

甘い砂糖にアリがむらがるように暴力団も金と言う甘い汁にむらがっている。そのためには暴力に訴えることなど朝飯前。ヒモとなって女性のかせぎを吸い、果ては人殺しさえも平気だ。「社会のダニ」「アシバー」(遊び人)と世間からさげすまれても甘い汁がある限り、彼らは暴力団をやめない。いま、社会不安をつのらせている一連の暴力団抗争事件も、つまるところ、資金源の奪い合いが引き金となっている。

資金源は暴力団の生命線。暴力団を社会からなくするためには、彼らの資金源を断つことだが暴力団取り締まりで一番難しいのが彼らの資金源をたたくことだ。逆に暴力団は資金源を断たれることを最も恐れている。抗争事件などで一見バカな行動をする暴力団だが、資金源を守るためには、あの手この手を使い、必死に警察の取り締まりをかいくぐって生きのびている。

多い女性のヒモ / 甘い汁吸い人殺しも平気

一口に暴力団の資金源と言っても、いろいろあり、県警でもその実態はつかんでいない。末端のゆすり、たかりから他人名義の合法的企業経営までさまざまだ。とくに多いのがヒモとなることで、沖縄の暴力団の主要な資金源となっている。ことばたくみに若い女性に接近、被害者の女性が気づいたときにはすでに手遅れで売春宿に売りとばされていたり、見に覚えのない厖大な借金を背負い込まされて、どうにもならなくなっているケースがほとんどだ。

ヒモとして何人の女性たちに君臨しているかが、暴力団の羽ぶりのよさを示すバロメーターになっている。女性が働いて持ってくる金を吸い上げるばかりか、その女性の付き合った相手の男性をおどし、金をまき上げると言う具合で、まるでヒモという名の吸血鬼。たまりかねた女性が逃げようものなら容赦なく暴力を振るう。あげくは女性の家族までおどし、痛めつける。その恐ろしさに震え上がり、逃げ切れない女性は暴力団の毒手に身をゆだね一生をメチャクチャにされる。このようなアリ地獄に落ちた女性たちは多く、いびつなヒモ稼業に味をしめた暴力団は次々と若い女性をその毒手にかけていく。

暴力団組織としてのいま1つの大きな資金源はバクチだ。一晩に何億という金が動く暴力団バクチが県内いたるところで開かれ、ちょっとしたスリルを求めて家、屋敷や会社をなくす者もいるという。インチキだとわかっても警察に届けを出せず泣き寝入りするケースがほとんどだ。バクチの主流はハナと呼ばれる花札と博。トランプと博も多い。最近ではゴルフなどもかけてと博をしていると言う。

その他、模合も暴力団の資金源となっている。ことし問題になった暴力団模合に、日掛け模合と言うのが中部一帯であった。AコースからDコースがあり、50万から100万円近くの払い戻し金が支払われるまで1時間もかからないと言うすさまじい模合だったという。(昭和52年5月25日付琉球新報9面)

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