りうきうのシージャと “性風俗” とパワーワード

今月にはいってブログ主はこれまで蒐集した分と、新規入荷した史料を整理しています。時間に限りがあるため復帰前後の三面記事をチェックしていますが、米軍人・軍属の犯罪とりうきう住民のやらかしには明確な “違い” があることに気が付きました。

米軍人・軍属の犯罪は理由がはっきりしていて、大雑把に言うと「軍紀の緩み」なんです。巨大な在沖米軍を維持するには規律(ルール)の厳守が不可欠なんですが、それができない連中が営内、あるいは営外でやらかしてしまう。特にベトナム戦争中、そして戦後は軍紀が最も緩んだ時期といっても過言ではなく、「軍紀が粛正できないなら帰れ」と住民たちが怒るのも無理ない状況でした。

それに対してりうきう住民の犯罪には “ルールそのものがない” と思わざるを得ないケースが散見されるのです。わかりやすく言えば「なぜこんなことを?」と首をひねるやらかしが散見され、しかも例外ではなく毎年のように散見されるのです。代表例の一つが昭和43年(1968)7月に発生した「琉球銀行若松支店強盗事件」で、主犯が弁護士だった顛末に「全琉が震撼」との表現が大げさでないほど、当時の社会に大きなショックを与えました。

ほかにも挙げろと言えばキリはありませんが、アノミー(無原則)に由来する意味不明の犯罪が発生していたのがアメリカ世の一大特徴であり、実は大日本帝国以前のりうきう・沖縄の歴史では見られない現象なのです。

※それ故にブログ主は沖縄戦後から復帰前後にかけてのりうきう住民たちによる犯罪記録に強い興味を覚えるのです。

ためしに、アメリカ世時代のアノミーの一例として、当時の “性風俗” が伺える記事を紹介します。読者の皆さん、是非ご参照ください。途中、想像を絶するパワーワードが登場しますが、今回はこの件ツッコミはなしにして記事を終えます。

性教育は学校、社会から

いまこそ真剣に / 母子保健家族計画大会異常児は予防できる

「丈夫な子を産もう」などをスローガンに第四回沖縄母子保健・家族計画大会(厚生局、沖縄家族計画協会主催)が三十日午後、那覇市・琉球新報ホールで開かれ、婦人や教育関係者、公看、助産婦など関係者約八百人が参加して会場を埋めた。この日の大会では「性教育」の問題が初めて前面に打ち出され、意見発表などがあり、これからの指標について模索した。そのほか意見発表や特別公演、パネル討議があり、最後に家族計画の理念と母子保健について学校教育、社会教育の場で充実強化を図ること②先天異常児の出産予防の対策を確立すること‐など六項目の大会決議を行なった。

大会は山川文雄厚生局長、当間重剛沖縄家族計画協会長のあいさつ、古屋芳雄日本家族計画連盟会長などの祝辞、伊波茂雄厚生局公衛部長の母子保健行政報告などのあと意見発表があった。

意見発表では田中市助・中城小学校長が性教育について「子供の率直な質問、疑問におとなはウソの答えをしている。恋などを知らない小学校の時期に性教育、生命の神秘を十分打ち込む必要がある。親はオロオロするばかりでなく、子どもの将来の人間形成を考え、積極的に取り組め」と学校での具体的な例をあげて述べた。我謝光子・沖縄助産婦協会副会長は家族計画相談にみる性知識で「昨年から中学生や高校生からの妊娠中絶相談がふえている。中には中学のときに一回、高校にはいって二回とすでに三回も妊娠中絶した子がいる。これら高校生の話だと、

妊娠した場合のために中絶模合も友だち同士で開いているという。

親はこの実情をじっくり考え、対策を考えるべきだ」との発表があり、参加者をびっくりさせた。また国井長次郎・日本家族計画協会理事長は「婚前における性教育と家族計画」の特別公演の中で「人間の性教育は簡単にはできない。世界中がこの問題について模索している。だけの教育はありえないし、これは道徳、家庭教育、社会教育と結びつけて考えるべきだ。性の混乱を恐れ、技術的に問題を解決しようとせず、真剣に真っ正面から取り組むべきだ」と指摘した。

そのあと丈夫な赤ちゃんを産み育てるにはをテーマにパネル討議が行われたが、先天性異常児の予防について新里陽弘・赤十字病院産婦人科部長が「異常児の出産は遺伝よりも妊娠後、薬の乱用やその他の環境因子によるものが多い。したがって母親が注意すれば防げる。また高齢、弱年の妊娠や中絶を経験した人にも異常児の出産が多いので家族計画、学校教育、婚前の教育で予防できるし、今後不幸な子供、異常児を産まない運動を繰り広げる必要がある」と語った。(昭和46年3月31日付琉球新報朝刊9面)

 

 

 

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