ファクトチェックが極めて困難なことの実例

本日(12月8日)の琉球新報を閲覧中に、緑ヶ丘保育園の事件から1年が経過していることに気が付きました。ブログ主は当ブログにてこの事件に関する記事を掲載し、今後この事件が基地反対派や反戦平和活動家にとって「なかったことにされる」ことだけは容易に予想できます」と〆ましたが、実際に「なかったことにされる」ことはありませんでした。理由は簡単で、去年12月13日に普天間第二小学校に本当に米軍ヘリから部品が落下する事件が発生したからです。

事件から1年経過した前日7日と本日8日に、この案件に関する記事が複数掲載されていましたが、今回は琉球新報の解説記事について言及します。全文を抜粋しましたので、読者の皆さん是非ご参照ください。

平成30年(2018年)12月8日付琉球新報

責任取らぬ姿浮き彫り – 緑ヶ丘米軍部品落下1年

解説 宜野湾市の緑が丘保育園に米軍ヘリの部品が落下して1年がたったが、実態解明に至っていない。米軍は関与さえ認めておらず、日本政府や米軍は「県警の調査状況を見守る」との立場を取り、責任の所在があいまいにされ、園関係者をはじめ宜野湾市民の要求は宙に浮いている。

米軍が関与を否定していることから、県警は基地内での立ち入り調査を実施できないとしている。米軍の活動は日米地位協定に基づく航空特例法で、航空機からの物投下を禁止する日本の航空法の条項が適用されない。県警の調査は行き詰まっているのが実情だ、それでも県警は「調査中」との建前を崩さない。一方で政府や米軍は原因究明の責任を回避したままだ。

米軍関連の事件や事故が未解決のまま、被害者が泣き寝入りを強いられるのは緑ヶ丘保育園の問題にとどまらない。今年6月に米軍キャンプ・シュワブに隣接する名護市数久田の被弾事件でも実態は解明されず、いまだ被害者への補償はされていない。その1年前に発生した安冨祖ダムへの流弾事件にも米側が実弾の提供などに応じず「被害者不詳」のまま捜査が終わった。

日米地位協定は公務中の事件の第一次裁判権を米軍側に認めている。基地内立ち入りについても、米軍が施設管理権を有していることから県警は米軍側の同意を得なければ実施できない。沖縄に米軍基地の負担が集中し、米軍優位の関係が続く限り、こうした「未解決事件」はなくならない。自治体を含めて関係機関には、戦後続いてきた問題の根幹に切り込む取り組みが求められる。(明真南斗)

この記事のポイントは、緑ヶ丘保育園側の証言を全面的に信頼して記事を作成していることです。前日の記事『米軍いまだ認めず 宜野湾の保育園・部品落下1年 基地内未調査、立件に壁』では保育園側に有利な証言が複数掲載されていますが、未だに「米軍ヘリから落下した」という決定的な証拠は提示されていません。それ故に「米軍側が調査に非協力だから、この案件の捜査は行き詰っている」との論調で記事を書かざるを得ないのです。

この案件で一番不可解なのは、当初落下物などの写真を Facebook に投稿した金井創さんが、その後該当ページを削除したことです。この言動によってネット上で炎上騒ぎが起きてしまいましたが、(如何なる理由か不明も)沖縄2紙ではこの件には一切触れることがありませんでした。緑ヶ丘保育園側の主張を信じるか否かで既存マスコミとネットで意見が真っ二つに分かれてしまったのが、この事件の特徴でもあります。

沖縄のマスコミは何故緑ヶ丘保育園側の主張に対して厳密な”ファクトチェック”を行わないのでしょうか。事実の報道に徹するのがマスメディアの使命ですから、片方だけの主張を全面的に信用して記事を書き続けるのは如何なものかと思わざるを得ません。それ故に現実にはファクトチェックの実施は極めて困難であり、「報道しない自由」を行使せざるを得ないマスコミの苦悩は察して余りあるとブログ主は勝手に結論づけて今回の記事を終えます。

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