今回の沖縄県知事選挙の構造を図解してみた

今月30日、我が沖縄県では2018年沖縄知事選挙が予定され、現時点で届出順で佐喜眞淳(さきま・あつし)、玉城デニー(たまき・でにー)、渡口初美(とぐち・はつみ)、兼島俊(かねしま・しゅん)の4人が立候補して激しい選挙戦が展開されています。今回は佐喜眞、玉城両候補が想定しているであろう支持者の構造について図解しましたので、読者のみなさんぜひご参照ください。(渡口、兼島両候補については今回は言及しません)

玉城デニー候補

玉城デニー候補の選挙戦で特徴的なのは”政党色がほとんどない”ことです。これは従来の保革対立を超えた構図を想定しているからに他ならず、そのため「故翁長雄志前知事の遺志を受け継ぐ」ことを全面に選挙戦を展開しています。普天間基地の辺野古移設を県知事選の最大の争点に挙げたのも、従来のオール沖縄会議の構造を引き継ぐために必要不可欠なテーマだからです。

沖縄を分断する勢力と記載しましたが、これは従来の保革対立を煽る一大勢力で必ずしも国とは限りません。たしかに辺野古の移設問題で国とは対立関係にありますが、それ以外でも保守革新の対立を煽るグループを想定して、政治の力でうちなーんちゅを一つにまとめ上げた手法こそ翁長さんの功績であり、その遺産を玉城デニー候補が引き継ぐ形式を取っています。

現在のオール沖縄会議は正直なところ機能しているかどうか疑わしいのですが、かねひでグループの呉屋守將会長が中心になって選挙を戦っている現状は実に興味深いです。昭和53年(1978年)の県知事選挙の際は国場派(国場幸昌衆議院議員)の支援者であった故呉屋秀信氏が中心になって選挙運動を行い、西銘順治氏の当選に一役買った事実があります。親(秀信氏)は保守派を統合して選挙を仕切り、子供(守將氏)は保守系一部と旧革新勢力を取りまとめて選挙選を戦う構図は時の流れをしみじみと感じさせるものがあります。

佐喜眞淳候補

佐喜眞候補の場合は想定している構図がきわめて単純で、政治家本来の仲介役に徹する形式です。自由民主党を含む保守系政党は「日本社会には階級対立がない」という前提で国民政党として運営されているので上記のような構造になります。チーム沖縄とは狭義では保守系首長の総称ですが、広い意味では世代間対立を緩和した階級闘争のない沖縄社会の総称と見做しても構いません。

オール沖縄との違いは国との関係が対立メインではなくて、協調を全面に押し出していることです。そのため普天間基地の辺野古移設問題を選挙の最大の争点とはせずに、民生重視の政策を強調する傾向があります。この辺りは従来の保守伝統の手法とも言えます。

佐喜眞候補の最大の特徴は世代間対立を緩和できる最高の人材であることです。玉城デニー候補は保守vs革新という従来の”ヨコの対立”の解消を想定していますが、佐喜眞候補は世代間のギャップ、つまり”タテの対立”を緩和あるいは融和すること前提に県政を運営すると予想されます。「社会には階級闘争はない」という従来の保守系の立場からすると当然のなりゆきですが、世代間対立の緩和あるいは融和を最優先するあまりに、県民の一部からなかなか強気にでることができない政治家との不満も出てくるかもしれません。

あなたの一票は決して無駄にならない!

今回ブログ主が玉城および佐喜眞候補が想定している構造について図解しましたがいかがでしょうか。もちろん異論反論はあるでしょうが、ここで強調したいのが「無関心こそ沖縄社会最大の危機」であることです。「どっちが勝っても沖縄社会は変わらないので自分ひとりが投票しなくてもいいのでは」という”テーゲー”がついには沖縄社会を堕落させてしまいます。投票日当日は台風の影響で悪天候も予想されますが、現在は期日前投票のシステムもありますし、県民のみなさんぜひ県知事選挙に足を運び支持者に一票を投じることを切に願います。その際当ブログの記事をご参照にしていただくとこれにまさる喜びはありません。

 

 

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