閑話 強制アップグレード2

1871年(明治4)の廃藩置県によって薩摩藩は鹿児島県になりますが、その際に問題になったのが琉球国の帰属です。近代国家を形成する上で鹿児島県ではなく中央政府が琉球国を管理する必要があったのです。そこで翌年に琉球王府の高官を上京させて、明治天皇より「国王尚泰を琉球藩王に封ずる」勅書を下達します。

当時の琉球王府の使者はこの勅書を何の疑いもなく受け取ります。今回のWindows 10のアップグレードにたとえるとアップグレードの予約ボタンをクリックした*ことに他なりません。しかも上京中に至れり付くせりの歓待*を受けます

Win10-Uograde

*図はWindows 10へのアップグレードを予約していないときのGet Windows 10の画面。この段階では問題なしも今すぐアップグレード(あるいは今夜アップグレード)をクリックするとバックグラウンドで実行ファイルがダウンロードされ無慈悲にもアップグレードが開始されます。

*上京した琉球王府の使者たちに対して、明治政府からの主なプレゼントは以下記載の通り。

1.琉球国の薩摩藩に対する債務を帳消しにする。

2.明治政府に納める貢租は2割減の8200石に設定する。

3.しかも代金納で構わない。大阪の米相場に於いて10月から12月の米の市場価格の平均値を算出して8200石分の貢租を納めること。

など至れり付くせりの内容で伊江親方、宜湾朝保親方をはじめ琉球王府の使者が飛び上って喜んだのも無理はありません。とどめは1872年10月(明治5)の東京-新橋間の鉄道開通式へ招待便乗です。王府の使者たちは琉球・沖縄の歴史で初めて鉄道へ乗車したことになりますが、この時の乗車がもっとも印象に残ったようです(続く)。

 

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