続・琉球藩の時代 もしも大日本帝国が琉球王国を引き取らなかった場合のお話 番外編5

現代の沖縄における独立論、あるいは自己決定権の議論は、ハッキリ言って「国会において普天間基地の辺野古移設反対、県外移設」に賛同する勢力が極めて小さい点に対するいらだちです。国会(特に衆議院)において多数派を確保できる可能性は極めて低いため、「いっそのこと独立して自分たちが多数派になっちゃえ」という次元の発想です。

もしも本当に独立したら、現在の日本の国体、すなわち「天皇陛下を中心とした国民共同体(天皇陛下の前では日本人は平等)」から離脱を意味します。これは革命を意味するのですが、果して独立や自己決定権を主張する面々はそこまでの認識があるか、極めて疑問に思わざるをえません。

もともとが「いっそのこと独立して自分たちが多数派になっちゃえ」という極めて低次元の動機なので、独立派が階層の垣根を越えて支持されるイデオロギーを構築することは絶望的に無理です。そのため外国の力を借りてでも、独立して自分たちが多数派になることを夢見るのも実はありです。逆に言えば、そこまでの思い詰め、覚悟がなければ、現在の独立あるいは自己決定権の主張は「議論の一環として」のレベルで数年経過すれば誰も見向きしなくなること間違いありません。

もしも中国共産党が、東アジアの冷戦に勝利すると、東アジアにおける軍事のパワーバランスが中国>日本になります。中共の勝利は、沖縄から米軍基地および自衛隊の撤退をも意味しますので、東シナ海および先島諸島に力の空白が生じます。そのタイミングでしか沖縄は独立することができません。

独立後、琉球政府(と仮定しましょう)は速やかに中国はじめ東アジア諸国と国交を樹立する必要があります。中国にとってもすっかりヤマト化した琉球を領有して中華の色に染めるには時間とコストがかかり過ぎます。そのため琉球政府との国交樹立の交渉において、先島諸島の自由航行と那覇軍港の共同利用の権利を獲得するだけで十分です。独立後の琉球政府の当面の課題は周辺諸国との国交樹立交渉と、仮想敵国になるであろう日本の脅威に対抗することで、そのためには一刻も早く中国の軍事の傘に入る必要があります。

ここで問題になるのは、独立後の琉球政府において、政権内の政策対立を調整する政治家がいるかどうかです。ブログ主は独立後の琉球政府において、完全な独立を主張する勢力と、中国の軍事の傘に入ることを主張する勢力との壮絶な内輪もめが起こると予想します。政権内部の路線対立を調整する人物がいれば問題ないのですが、実際に現時点で独立あるいは自己決定権を主張する勢力にそんな気の利いた人材がいるのでしょうか?琉球政府内の意見対立が調整できない場合は、当然沖縄は無政府状態に陥ります。そして最終的に嫌々ながら中国が沖縄を領有せざるを得なくなるのです。(続く)

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