人口の増加が沖縄社会に与えた影響を真面目に考えてみよう~復帰後編(下)

我が沖縄県では平成12年(2000)から、若者人口(14~24歳)比率が低下します。この現象は昭和20年(1945)を除くとおそらく有史上初めてのことかと思われますが、今回は若年層の低下が社会にどのような影響を及ぼすのかを考察します。

目に付くのが若者人口比率の減少と比例して犯罪件数が減少していることです。沖縄県警察の公式サイトに平成17年(2005)から「刑法犯総数、認知件数、謙虚件数・検挙人員」のデータがありますので貼り付けします。下記グラフからもお分かりのとおり、犯罪件数が激減していることが確認できます。

重要犯罪総数、認知件数・検挙件数・検挙人員のデータも貼り付けしますが、平成17年から減少傾向にあることがわかります。

社会全体の犯罪件数が減少傾向であることは、言い換えると「社会全体が穏やかで住みよい」ことを意味します。外国人犯罪件数も減少傾向になるので、我が沖縄県は復帰前後に比べると治安が劇的に改善したと見て間違いありません。

若者の気質も大きく変わります。規格外の人材が輩出しにくい、そして彼らの存在が社会に大きな影響を与える可能性が極めて低くなります。実際に安室奈美恵以降、沖縄社会からはそのような人材を輩出していません。

現在の若者気質は綾部ゆたか(@iiduna_yutaka)さんの Twitter の投稿が正鵠を得ていますのでご参照ください。

日本の場合ここ二十年くらいで「若年層のリベラル化」に本当の意味で成功したんじゃないかとは思っている。いわゆる急進的な左派とか、自称リベラルではなく、割と社会政策にも中庸を求め、安定志向で、様々な考えに寛容である、というタイプのね。それが既存の構造(マスコミとか)に疑問抱いていると。

上記のご指摘の日本の部分を「沖縄」に置き換えると、ピッタリではありませんか。全体的にマナーがよく、社会秩序を乱す行為を嫌い、そして多様な考えを持つ気質に大きく変容しているのです。そして「自分達は差別されていない、日本人と平等である」と考えているのも見逃せません。

若者世代の減少による最大のリスクは「外国からの脅威」です。それゆえに人口増加時代とは違った方法で「国防」を真剣に考える必要があり、そのことを痛切に感じているのが現在の20~30代です。だから若者世代は「テロ等準備罪」の成立を歓迎し、安倍政権を支持するのです。「共謀罪」は戦前への逆戻りだという指摘には一切耳を傾けません。若者世代のほうが現実を理解しているのです。

現代の沖縄社会において、我那覇真子さんのような人材が輩出されるのも理由があってのことです。復帰後においては彼女のような存在は社会の表舞台にたつことはできませんでした。当時は沖縄県において自衛官の募集を行う運動を始めたら反対派によって即刻潰されるご時勢です(昭和55年、西銘県知事の時代になって初めて自衛官の募集が開始されます)。彼女なりに国防を真剣に考えて、既存の価値観に疑問を投げかける女性が支持を得ていることが、戦後世代には理解できないでしょうが、これもまた時代の趨勢なのです。

我々沖縄県民が21世紀を生き延びるには、「人口減少」を念頭において、そして従来の価値観を捨取選択しなければなりません。そのことに成功しているのが高校野球の現場です。上手くいかないのが暴力団の世界と、反戦平和活動の現場です。特に平和活動の現場は深刻ですね。若年層の支持が得られず、運動員の高齢化が著しいからです。近い将来オール沖縄の社会的影響力が激減することは間違いありません。そのときに初めて「平和と安定を愛する沖縄県民」が誕生することブログ主は予想しています。(終わり)

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【関連資料】

・沖縄県警察 犯罪統計資料(今回は平成27年度の情報を参照しました)

http://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015031700032/

・綾部ゆたか(@iiduna_yutaka)さんの Twitter の投稿の画像キャプチャー。

 

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