閑話 訴え続ければ何時かは願いが叶うなり その1

今回は「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件について思うこと」の記事を作成している時に気が付いた点を掲載します。以前に実現不可能な要求は結果として現状維持につながる旨を記載しましたが、沖縄県に於ける基地問題へのアプローチがまさにその通りで、日本国へ復帰して40年以上経過も解決には至っていません。

沖縄県側が掲げる「無条件・即時撤退」の要求はまさに現実を無視した内容ですが、この原則は本土復帰時から変わっていません。「無条件・即時撤退」の要求は事実上「妥協しない」「交渉しない」と相手方に宣言しているようなもので、結果として没交渉→現状維持になってしまいます。

実はアメリカ軍の占領行政下を経験した世代には「訴え続ければ何時かは願いが叶うなり」との考えがあります。基地問題への取り組み方がまさにその発想ですが、そうなると必然的に「妥協しない」という姿勢になります。普天間基地の移設問題が揉めている原因の一つがまさにその発想法で、これは歴史的な要因ですから正直なところどうしようもないのです。

問題は現代の20代から30代の沖縄県民が「訴え続ければ何時かは願いが叶うなり」とのアメリカ占領行政を経験した世代の発想を理解していないことです。ネット上で「翁長知事は中国の手先」「沖縄のマスコミは極左」などと事実無根の書き込みが散見されますが、アメリカ軍の占領行政時代の歴史を知らない県外の方がそのように主張する分には構いません。その主張に反論すればいいのです。

真に驚くべきは20代から30代の沖縄県民がそれらの主張に同意するケースがあること、しかも沖縄県民から「基地反対派は極左で中国の手先」などと主張していることです。平成生まれの世代に散見されますが、現代の沖縄においてアメリカ軍の占領行政を経験した世代と若い世代では想像以上の世代間ギャップが存在していて、1945年から1972年までのアメリカ軍による占領の歴史が若い世代に伝わっていないことを暗示しているのです(続く)。

 

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