琉球独立論に対して常々思うこと その2

(続き)現代の国際社会では沖縄の独立は事実上不可能です。それでは自治権の拡大は可能でしょうか。10年ほど前に道州制の議論の際に沖縄だけは単独自治州で運営しようという提案がありました。大学教授ら知識人主導で琉球自治州の会を発足して活動していたようです。

ブログ主はそのときに刊行された書籍『琉球自治州の構想』を所持しているのですが、いま読み返すと突っ込みどころ満載で、率直に言うとこんなことを真面目に討論していたのかと呆れざるをえません。

ちなみに独立論者も自治州拡大論者も共通するのは本音では経済運営に自信がないことです。琉球自治州の構想では経済自立のために下記3点を日本政府の要求すると記載されてます。

・国家予算の1%の一括交付金制度を要求(2005年当時であれば83兆円の1%)1%の根拠は人口比から(日本国の人口における沖縄県の人口の割合は1%程度)

・琉球自治州の天然資源は州政府の管轄にする(尖閣諸島に埋蔵されている原油を想定)

・上記2点の収入でベンチャー企業を要請

一見すばらしい提案に思えますが、よくよく考えると無茶苦茶この上ないかつ限りなく実現性の低い案件で、こんなくだらないことを本当にまじめに議論していたのでしょうか?

沖縄県の人口は全国の1%だから国家予算の1%をよこせの案は、ほかの自治体が追随したらたちまち国家予算は破たんします。琉球自治州にだけ特例を設ける理由をどうやって他の地方自治体に説明かつ説得するのでしょうか。2014年の衆議院選挙で沖縄選挙区から10名の国会議員が誕生したときも一部自治体からはブーイングが上がったくらいです。沖縄開発庁が設置され、毎年振興費が交付される環境を上回る特権を享受したい極めて虫のいい発想が通用すると思っているのでしょうか?

琉球自治州の天然資源は州政府の管轄にする案は

私は問答無用の経済無知です

と宣言していることに他なりません。理由は天然資源とやらが採算が取れることだけを想定しているからです。尖閣諸島に埋蔵が予想される原油は採算ベースに乗るまで巨額の資金を投じる必要があります。海底油田なのでパイプラインや港湾施設、そして販売ルート確保に至るまで数兆円単位になるでしょう。開発資金はどこから調達する予定でしょうか?国家予算の1%の交付金では全然たりません。

ブログ主の聞いた限りではメジャーおよび日本の会社(国際石油開発帝石)が現代の採掘技術では尖閣諸島の原油は採算ベースに乗らないと結論つけています。開発しても元が取れない天然資源に何を期待すればいいのでしょうか。

天然資源は商品です。そのときの相場によって左右される極めて不安定の代物です。せっかく採掘施設やパイプライン敷設などインフラ整備を整えても赤字経営になったらどうしようもありません。しかもその可能性が極めて高い代物です。石油は儲かると単純に考える脳みそでどうやって自治州の経営が円滑に運営できるのでしょうか。極めて疑わしいと言わざるを得ないのです(続く)。

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