琉球独立論に対して常々思うこと その3

(続き)琉球独立論や自治権の拡大を唱える人たちはおおむね在沖縄米軍基地の撤廃の立場です。当然といえば当然ですが、基地撤廃の根拠として「(在沖)米軍基地の存在は沖縄の経済発展の妨げになる」と主張します。実はこの主張は正論そのもので、在沖縄米軍の存在よる軍事の制約が今後の沖縄県の経済発展の妨げになる可能性は十分にありうるのです。

一つの例として、沖縄本島の領空は米軍優先です。通信や領海も原則として米軍優先ですが、これらの軍事的制約を大幅に緩和することで沖縄本島は東アジアの通信や物流インフラの拠点として絶好の立地を確保することができるのです。

ただし現時点では米軍基地の撤退は不可能です。理由は東アジアで冷戦が終結していないからです。そもそも沖縄に軍事の大拠点が築かれたきっかけは昭和24(1949)年の中国革命と昭和25(1950)年の朝鮮戦争です。それ以来在沖縄米軍は一瞬たりとも油断することなく中国大陸や朝鮮半島を徹底監視しています。中国共産党や朝鮮労働党が崩壊するまで沖縄から撤退する気はありません。

在沖縄米軍基地を撤退させるなら、東アジアの冷戦を終結させるよう主張するのが筋ですが、独立論者あるいは自治権拡大を主張する人たちは冷戦終結には無関心です。理由は2つあって一つは冷戦は終わったと考えていること、二つ目はアメリカ軍の占領行政時代からの伝統ですが、米軍憎しのあまり

今だに中国共産党や朝鮮労働党に親近感を持ち続けていることです。

特に革新勢力と朝鮮労働党との交流はアメリカ軍の占領行政世代の人たちには公然の秘密で、1972年の本土復帰後に金日成主席の主体思想が革新勢力に与えた影響は無視できないものがありました。それが形を変えて現代の独立論や自治権拡大の議論につながっているのです。

だから大多数の沖縄県民はそのあたりのうさん臭さを感じてって自治権の拡大や独立論には極めて冷淡な立場を維持しているのです。現実的に無理だと誰にも分かっていることもありますが、

独立論の背後にあるものに感づいて”敬して遠ざけている”のが実情

といっても過言ではありません(続く)。

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