ゴルゴ13と沖縄

今月17日付沖縄タイムス1面に、平成8(1996)年1月に発表されたゴルゴ13シリーズ『沖縄シンドローム』に関するコラムが掲載されていました。ビッグコミックで発表された当時、ブログ主は作品中の “沖縄要素てんこ盛り” の無理やり感にとまどいを憶えた記憶があります。

具体的には”王族の末裔” や “首里城での決闘” など琉球王家を絡めつつ、当時の沖縄が抱えていた問題を上手に描いていましたが、本土の読者受けを狙うにはやはり “王家” は必要不可欠なんだなと痛感します。この点は現代も同じかもしれませんが、作品発表から20年以上の時を経て現代の新聞記者が『沖縄シンドローム』をどのように解釈したのか、興味深い内容ですので全文を書き写しました。読者のみなさん是非ご参照ください。

大弦小弦

琉球王家の血を引く自衛隊の天才パイロット伊波が、沖縄出身の自衛官たちを率いて「沖縄独立計画」を決行。人気漫画「ゴルゴ13」の第350話、「沖縄シンドローム」(1996年発表)の内容だ。

物語は那覇市出身で千葉県在住のシナリオ作家、平良隆久さん(58)が担当した。95年の米兵暴行事件に衝撃を受け、日本復帰後も変わらない現状に怒りをぶつけた

主人公のゴルゴは凄腕スナイパーで依頼を受ければどんな相手でも狙撃するが、本作では日本政府から依頼された伊波の暗殺を断る。結果的に引き受けたのは、民を思い「今は独立すべきではない」と欧州の山奥に暮らす琉球王の末裔に依頼されたからだった

作品に込めた沖縄の歴史や悲哀、未来への願い。ゴルゴは依頼人の苦境や任務の不条理を知った時、怒りや悲しみを「……」と無言で示す

コロナ禍の今年は、68年に漫画雑誌で連載開始以来、初めての休載もあった。7月から再開され、ゴルゴはこれからも世界を飛び回るだろう

沖縄では今も米軍がらみの事件事故が相次ぎ、日米地位協定の問題もある。平良さんは「作品にするテーマはまだまだある」と話す。ゴルゴが異色のヒーローとして愛される理由は、人間や社会がはらむ矛盾に照準を合わせて「ズキューン」と撃破する姿。沖縄で活躍する新作が待ち遠しい。(吉川毅)

ちなみにゴルゴ13は沖縄の独立を阻止するべく行動していますが、沖縄独立計画のために “伊波” は本土の資本家(菱井グループ)の全面協力を得ています。実は狙撃されたのは菱井グループの “総帥” であり、つまりこの作品は

沖縄問題を利用してのし上がろうとする輩に鉄槌を下した

ことが本当のテーマです。そしてそのような怪しからん輩こそが “真に沖縄を差別” していることを訴えているのです。残念ながら上記コラムではそこまで踏み込んでいませんが、そのあたりは社内の大人の事情やら複雑な何かが介在しているのかもしれません。

コラムでは “ゴルゴが異色のヒーローとして愛される理由は、人間や社会がはらむ矛盾に照準を合わせて「ズキューン」と撃破する姿。沖縄で活躍する新作が待ち遠しい” と〆ていますが、それならばブログ主はこの作品の趣旨に沿って

鳩山由紀夫さんを “ズキューン” と撃破してください

とゴルゴ13に狙撃を依頼したい気分になったことを付け加えて今回の記事を終えます。