本土復帰の日のコメントを調べてみた

前日(5月15日)は我が沖縄県が本土復帰して45年の節目の年でした。ブログ主は突如世界的に爆発的に蔓延したウィルス(ランサムウェア)「Wanna Cryptor」の対策でPCのセキュリティチェックに忙殺されていましたので、本日(16日)改めて復帰の日に際しての沖縄県知事および各政党のコメントをチェックすることができました。

復帰の日のコメントは大まかにいってパターンが決まっています。テンプレ化していると言っても過言ではありませんが、

「沖縄が本土に復帰してよかった→だがしかし基地問題が云々」

の流れです。それでは沖縄県知事のコメントから紹介します。

復帰の日 知事コメント

本日、5月15日は、沖縄が27年間にわたる米軍統治から悲願の日本復帰を果たして45年となります。

この日から、沖縄県民は、日本国憲法のもと、平和で安心して暮らせる沖縄県を創りあげるため、全力を尽くしてまいりました。

復帰以降、数次の振興計画の策定・推進により、沖縄の社会インフラは格段に整備が進み、近年では、観光、情報産業、国際物流など、アジア経済のダイナミズムも取り込みながら、沖縄の経済はかつてないほどの活況を見せています。積年の課題であった一人当たりの県民所得や雇用の面でも改善がみられ、景気も全国を上回っています。

一方で、非正規労働等の雇用の質の問題、子どもの貧困問題など、まだ解決すべき課題が山積しております。

米軍基地問題について、平和を希求する県民は、復帰により、現行憲法のもとで沖縄の基地負担が大幅に軽減されることを願っておりましたが、今現在においても、国土面積の0.6%に過ぎない本県に、在日米軍専用施設の70.6%が集中しているという厳しい現状があります。

県民は、復帰以降も米軍基地から派生する事件・事故、環境問題等に苦しめられ続け、さらには、広大な米軍基地の存在は、沖縄の更なる振興発展の最大の阻害要因となっています。

私は、今日のこの日を迎えるにあたり、復帰以前から歯を食いしばって沖縄の繁栄の礎を築いて来られた親ふぁーふじ(祖先)の頑張りやご苦労に報い、将来にわたり子や孫が笑顔で暮らせる平和で豊かな沖縄を築くため、基地問題はじめ、沖縄が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、今後とも全身全霊取り組んでまいりたいと考えております。

2017年5月15日 沖縄県知事 翁長雄志

上記のコメントは公職の長らしく実に無難に纏めています。翁長知事の支持勢力は旧革新勢力とアメリカ軍の占領行政を生きた世代ですから、全体として当たり障りのないようにコメントにすごく気を使った意図が伺われますね。つぎは5・15県民大会の宣言を紹介します。

5.15県民大会宣言(要旨)

沖縄は、45年の復帰の日を迎えた。1952年サンフランシスコ講和条約により切り離され、72年の復帰までの間、米軍の統治により、基本的人権が抑圧され過酷な日々を強制されてきた。そして「即時無条件の全面返還、平和な島・沖縄」を強く望んだ復帰の思いとは裏腹に、日米安保条約により米軍基地が居座り続け、復帰から45年たった今なお、米軍基地は強化、拡大されている。

安倍政権は、圧倒的な「新基地NO」の民意を無視し、名護市辺野古に新基地建設を強行した。沖縄米軍基地の負担軽減と普天間飛行場の危険性の除去のためと国民、県民を欺き、滑走路の増設や軍港機能を併設し、耐用年数200年ともいわれる強固な米軍基地建設を推し進めている。隣接する基地との一体的運用を可能にする基地機能の強化である。

東村高江では、全国から500人の機動隊を投入、権力で市民を弾圧し、高江住民を標的にしたオスプレイパッド建設を強行した。政府のやり方は、憲法の原則を真っ向から否定し、民主主義の崩壊を意味する。

アジアの緊張をあおり、与那国島への自衛隊の監視部隊や宮古島、石垣島への地対艦ミサイル部隊の配備は、沖縄が軍事基地の要塞(ようさい)になることであり、捨て石にされた72年前の惨烈な戦が県民の心によみがえる。安倍政権は、安保法制に続き、いわゆる共謀罪法案を成立させようとしている。話し合うだけで罪になり、市民を監視し、管理社会を策謀している。廃案に追い込むまで取り組みを強化しなくてはならない。

この大会で、日米両政府によって推し進められる米軍、自衛隊基地強化、拡大に強く反対することを表明する。続発する米軍関係者による凶悪犯罪を糾弾し、日米地位協定の抜本的改正を強く要求する。また、東日本大震災、熊本地震の早期の復興を心から願い、すべての原発の再稼動を許さず、脱原発社会の実現を確認する。最後にアジアをはじめ世界平和のために闘い抜くことを確認し、本大会において強く宣言する。

2017年5月14日

復帰45年・5・15平和とくらしを守る県民大会

上記のコメントに言いたいことは「歴史的イベントを政治利用しないでほしい」に尽きます。県民大会の参加者に対しては申し訳ありませんが、同じ沖縄県民と思われたくありません。最後に県内政党のコメントを掲載します。

県内政党コメント

・自民党県連~振興さらに推進~

復帰45年を迎えた。報道によると、復帰に対する県民の評価は80%前後と高い。今後は一層、国家戦略との位置付けで振興策を推進している必要があり。また過重な基地の負担軽減をさらに図ることが重要である。

・社民党県連~自治の阻害続く~

過重な基地があるが故に命が脅かされ、自治や経済が阻害される現実は変わっていない。政府は民主主義を全うし、県民が望まぬ辺野古新基地建設を直ちに断念せよ。県民主体の真の豊かさを追求する。

・共産党県委~基地強化許せぬ~

県民は平和と基本的人権が保障される日本国憲法への復帰を求めた。安倍政権の元で基地負担強化と改憲の動きは許せない。翁長知事を支え新基地建設と改憲策動を許さず平和で豊かな沖縄実現へ全力を挙げる。

・公明党県本~生活向上へ全力~

県民のたゆまぬ努力と5次振計などで沖縄県は大きな発展を遂げた。しかし過重な基地負担や雇用、敎育、福祉など課題が山積している。これまで以上に県民生活の向上と平和で豊かな県づくりに全力で取り組む。

・社大党~基地なき沖縄へ~

沖縄は日本のどこよりも過重な基地を負担させられ傍若無人な米軍の訓練など、さまざまな基地被害に遭っている。さらに現政権は新基地を強硬に押しつける。県民は平和な島を希求しており基地のない沖縄を目指す。

・維新~先人の貢献胸に~

米軍基地問題の解決が沖縄県の未来の姿を形づくることは間違いないが、多くの先人たちが復帰後の沖縄の経済的成長に貢献したことを忘れてはならない。その思いを胸に、個性豊かな沖縄をつくっていきたい。

・自由党県連~脱基地実現せず~

復帰に対し県民の約8割の肯定的評価があるが、最重要課題である基地問題については、なお米軍施政権下の影響から脱しきれていない。復帰45年がたった今、県民の願う沖縄県の構築に向け取り組んでいく。

・民進党県連~県民の思い共有~

米軍の基地建設、訓練強行が続き政権与党から差別的発言もでる。追従と屈辱を求めるみずぼらしい政治だ。復帰は、沖縄の思いも共有してもらうためだったはず。尊厳を持って、堂々と生きられる社会へ変える。

上記のコメントを読むと、それぞれの政党でテンプレ化した公式回答があるんだなと思いつつも、ブログ主が感銘を受けたのが維新のコメントです。復帰後の先人の業績を称える内容に心から感動しました。儀間光男さんの意向でしょうか?

最も惨いのが民進党県連のコメントです。一言でいえば「お前が言うな(怒)」。我が沖縄県から跡形もなく消滅して欲しいと心底思わざるを得ません。

5月15日の沖縄タイムスをチェックして一番不満だったのは、本土復帰に最も尽力された屋良朝苗主席(当時)に関する記事が見当たらないことです(というか屋良朝苗という単語すら見つけられない)。昭和47年(1972)に沖縄が日本国に復帰できた理由の一つが屋良さんの

「復帰できるチャンスがあれば、先に復帰する(一本の針でも先に拾え)」

という強固な信念があったからです。それ故ブログ主は沖縄タイムスおよび旧革新勢力は本音では「基地付き復帰を認めた屋良さんの業績を認めたくないのでは」と疑わざるを得ません。余りにも屋良さんが不憫なので将来ブログにおいても偉大なる屋良朝苗氏の業績を記事にしたいと思っています。最後に来年の本土復帰のコメントからは「政治利用目的」と「民進党」は省くことを切に願います。理由は若い世代に悪影響を及ぼす恐れがあるからです(終わり)。

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