
令和07年9月20日から行われた第75回沖縄県高等学校野球秋季大会(以下秋季沖縄大会)も、今月12日に決勝戦が行われ、沖縄尚学が日本ウェルネス高等学校沖縄(以下ウェルネス)に4-0で勝利し、2年連続12度目の優勝を果たしました。
決勝に進んだ2チームは宮崎県で開催される秋季九州大会に県代表として派遣されますが、両チームについては後日言及するとして、今回は秋季沖縄大会3回戦で敗れた興南新チームについてブログ主なりに分析・紹介します。
今年の興南は野手のタレントがそろっているので、春季大会以降は無視できないチームになること間違いありませんが、とりあえず10月4日に行われた3回戦(vs名護)のスタメンを紹介します。
新チームは1~4番までの昨年の甲子園組と5番以降の新戦力が思った以上にかみ合った感があり、個々の選手の質では沖尚やウェルネスに勝るとも劣らず、エナジックやKBCより明らかに上です。だがしかし現時点において、他の私学と決定的な差があり、それはつまり
ランナーを進める能力
が不安定すぎるのです。現に3回戦ではスコア確認したところ「犠打0」とありましたが、その理由は前半戦だけで送りバントを4回連続失敗していたからです。プラスライナーゲッツーが2回もあり、出塁はしてもランナーを返す以前のところで問題がありありなのです。
秋季大会の1試合だけで判断するのは早すぎるかもしれませんが、中央新人大会ではベスト8でKBCに1-0で負けています。ハッキリいって戦力を持て余している感が否めず、チーム内に致命的な何かを抱えていると判断したほうがいいかもしれません。
投手力
3回戦では左の松鳥投手(1年)と後藤投手(2年)が登板しましたが、興南にとって気の毒だったのは、Enagicスタジアム名護のマウンドが左投手にあっていなかったのです。事実、ブログ主は同球場で4試合観戦しましたが、(KBCの東投手を例外として)登板する左腕投手(エナジック、興南、沖尚)たちが制球に苦しんでいたのが印象的でした。
なので現時点では興南投手陣の力は測り辛いのですが、後藤投手については問題ないでしょう。ただし名護との試合で先発した松鳥投手については経験不足のため少し時間がかかるかなとの印象を受けました。
今後の課題
今回の交通死亡事故レベルの敗戦を受けて、ブログ主が過去の秋季大会の結果をチェックしたところ、興味深い事実が浮かび上がりました。ためしに過去五年間の成績を紹介すると、
・2021年11月09日秋季九州大会(準々決勝)大島3-0興南:初戦を5-0で完封勝利し、この試合に勝てば選抜確定の大一番で、大野稼頭央投手の一世一代のピッチングに強力打線が沈黙し完封負け。
・2022年10月01日秋季沖縄大会(準決勝)沖尚8-1興南:中央新人大会では勝利(2-1)も秋季大会では田崎・平山投手が炎上し7回コールド負け(ちなみにブログ主はこの試合を現地観戦しました)
・2023年10月29日秋季九州大会(1回戦)唐津商1-0興南:秋季大会を堅守と強打で優勝。プラス田崎颯士投手が好調のため、九州大会の組み合わせを見た瞬間、ベスト4は堅いと思いつつも、現実は初戦でエラーと拙攻を連発し0-1で敗戦。
・2024年09月22日秋季沖縄大会(2回戦)コザ1-0興南:その年の甲子園出場組で新チームを結成するも、中央新人大会と秋季大会でコザ高校にロースコアで敗退。
・2025年10月04日秋季沖縄大会(3回戦)名護4-1興南:中央新人大会で8強どまりのため、沖尚→エナジック→(KBCとウェルネスの勝者)とあたる(であろう)激戦ブロックを引き当てるも、沖尚に当たる前に名護に敗北。しかもスタントで観戦していた沖尚ナインの前でこれでもかと拙攻を連発。
となり、読者の皆さんは私学チームとは思えない芸術的な負けっぷり※に驚かれるかもしれません(5年連続5度目)。ただし面白いのが興南は例外なくここから強くなるのです。事実、令和4年(2022)以降は2度甲子園に出場してますし、夏の大会は必ずベスト4まで勝ち上がっています。つまり個々の選手の質と監督やコーチたちの指導力には「大きな問題はない」というわけです。
※秋のやらかしに対して、夏は令和4年を除けば普通に負けているのも興味深いです。
令和08年の沖縄の高校野球は(現時点では)沖尚が先行し、エナジックとウェルネスが追う展開、公立ではやんばるの3チーム(本部、名護、宜野座)が注目です。ただし春の大会では推しの興南が好成績を上げ(九州大会に出場してほしい)、夏の大会では優勝候補までチーム力はレベルアップするであろうと確信して今回の記事を終えます。