芋の葉露(田舎生活)- その1

(壱)三百年来人の生血を見たることなき人民に曾て戦乱抔(など)の恐るべきを知らず恐るべきものはただ飢饉のみ。或(ある)老農畑の側なる小松原に腰をかけ煙草を吹かしつつ余に語りて曰く、手前共に米も二十俵位は作り砂糖も十四五挺は作り、その他麦も豆も少しづつ作り候へども、一番大切のものは其処一面に蔓これる芋にて候。

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久高島印象記 – まとめページ

今回は読者の便宜を図る上で、『沖繩敎育』(大正13年6月、9月、12月)の3号にわたって掲載された又吉康和著『久高島印象記』のまとめページを作成しました。同年6月8日に実際に久高島を訪れた際の訪問記ですが、当時の島の様子を伺える第一級の史料と言えます。

ちなみにこの印象記を読んだブログ主の感想は、伝統主義(現在の社会的な慣習は “これまで続いてきた” という理由だけで正しいと考える行動様式のこと)の束縛の強さです。そして興味深いのがこの一節で

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久高島印象記 (5)- 又吉康和

一 久高島に印象の一番深いものは地割制度であつた。明治三十二年法律第五十九號を以て沖繩縣土地整理法が施行された、で同第二條に依り縣下各村の持地人(百姓)は最終の地割替に依り各自其の割當てられた土地の所有權を完全に獲得したわけである。然るに獨り我が久高島と渡名喜島の百姓等は地割地を從來の通り持地人の共有としたのである。其の爲め各町村では何處でも私有財產として土地を所有して居るにも拘わらず久高島では土地が共有である。

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沖縄の成人式 – 昭和54年以降番外編

(続き)これまで昭和54(1979)年から56(1981)年までの小禄地区における成人式関連の記事を掲載してきました。護憲反安保県民会議などの民主団体が中心となった反自衛隊闘争の裏面史になりますが、記事に目を通したあとに嫌な気分になった読者もいらっしゃるかもしれません。

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沖縄の成人式 – 昭和54年以降その3

(続き)今回は昭和56(1981)年度の小禄地区における成人式開催において、護憲反安保県民会議等を中心とした”反自衛隊闘争集団”とそれに対抗する小禄地区実行委員会の顛末について言及します。

前回(昭和55年度)、小禄地区の実行委員会が警察および機動隊を手配・導入したことで阻止団も何らかの対策を取らざるを得なくなります。その手段として阻止団側は行政から小禄地区の実行委員会に”圧力”をかけるよう要請します。

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沖縄の成人式 – 昭和54年以降その2

前回の記事において、昭和54(1979)年の那覇市小禄地区における成人式の混乱について言及しました。自衛隊員の成人式参加を阻止するために、阻止団が小禄地区成人式実行委員会の許可を得ることなく検問を実施し、実際に自衛隊員を追い返したことは実行委員会のメンツをつぶした行為に外なりません。翌55(1980)年の成人式を円滑に開催するためには、

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沖縄の成人式 – 昭和54年以降その1

今回は季節柄の話題として、昭和の沖縄における成人式の”風物詩”について言及します。平成以降は”沖縄の成人式”と題したウィキペディアが編集されるなど、そのあり方が物議を醸していますが、復帰後の成人式は労組や民主団体などにおける”反自衛隊闘争”の活動現場として地元メディアによって大々的に報道されてきました。

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我が沖縄社会の犯罪統計を調べてみた結果

これまで当運営ブログにて沖縄ヤクザ関連の記事を28回掲載してきました。その理由のひとつに「琉球王国および大日本帝国時代の沖縄県でなぜヤクザが誕生しなかったのか」を追及するためでもあります。

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令和2年に首里城公園を訪れたお話 – その1

今回は令和2(2020)年1月2日および3日に首里城公園で行われたイベントを観戦したまとめ記事を掲載します。現時点の公園内開放エリアおよびイベントを見学してきましたが、よくよく考えると去年の火災事故以来初めて訪れたことになります。

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ソ連の裏と表

令和2(2020)年元日から当ブログらしくいきなりエグい記事を提供します。昭和32(1957)年4月29日から沖縄タイムス夕刊に計15回掲載された金城五郎著『ソ連の裏と表』の全文をアップしました。

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ソ連の裏と表 (終) – 國民は騙され通し – お得意は資本主義誹謗

むすび 今から四十年前、新しく出発したソビエト革命政府は、搾取のない社会を約束し、「この國は働く人達の國です。だから國の主人はあなた方労働者と庶民です」と呼びかけた。当時おくれた農業國として農奴制の名残りを多分に留め、資本主義の社会すら発展の段階になかったロシアの農民達は、有頂天になった。

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ソ連の裏と表 ⒁ – 作業が惡いと減食 – ロシア人は塩漬魚が好物

収容所と作業場との囚人の送り迎えは大変である。囚人は収容所の門内で員数を数回確かめられて後、一人ずつ囚人カードに依って姓名年齢、条項、刑期、を答えると、門外で護送の部隊にカードと共に引渡される。受取った兵隊は更に員数を点検して異状がなかったら所長の差出す受領にサインをして作業場へ前進をはじめる。周囲には自動短銃を構えた兵隊達が警備に当り、後尾からは軍犬もお伴をする。

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