琉球新報の “堕落” に心を痛める日々 – その1

今月4日 “JRで車いすは乗車拒否されました” と題したコラムニスト伊是名夏子さんの記事が発端となり、ネット上で炎上騒ぎが起こったのは記憶に新しいところですが、ブログ主はこの案件の是非にはあまり興味が持てなかったので、賛否に関しては適当に流していたというのが実情でした。

ただし今回の騒動は “政治家の結果責任” というテーマで考察すると格好の素材なので、あれこれ思案していたところ、個人的にショックを受けた記事を見つけました。それは同月19日付琉球新報の “金口木舌” で、試しに全文を書き写しました。読者のみなさん是非ご参照ください。

金口木舌

「JRで車いすは乗車拒否されました」。ブログにつづった県出身のコラムニスト、伊是名夏子さんがネットで中傷にさらされている。骨が折れやすい障がいがあり、車いすを利用している。

▽無人駅を利用したところ、駅員から「ご案内ができません」と言われたことを明かした。すると「わがままだ」「車いすに対応している駅なのか事前に調べるべき」「タクシーで移動しろ」などの集中砲火を浴びる事態に

▽これが東京五輪招致決定の決め手の一つともなった「おもてなし」の国の姿だ。首相が真っ先に「自助」を強調する。「困っている人に手を差し伸べる」のは人として当然の振る舞いではなかったか

▽残念な調査結果がある。2009~18年の10年間に、125カ国を対象にした130万以上の人々を調査した英国の慈善団体チャリティーズ・エイド・ファンデーション(CAF)の調査で、日本は「人助け度」が最下位

▽都心の公共交通機関を利用して感じることは「人に迷惑を掛けてはならない」という無言の意識集合。車いすやベビーカーの人は周囲の邪魔にならないよう申し訳なさそうに乗り込むことがおおい

▽誰もが行きやすい社会に向け一石を投じた伊是名さんに石が投げ付けられる風潮を放置していいはずはない。まさに憲法が保障する基本的人権の問題だ。誰一人取り残されない社会のために。(令和03年4月19日付琉球新報)

説明不要ではありますが、上記コラムの言いたいことは “(障がい者の伊是名さんが)社会のために良かれとしてやった行為に対しての誹謗中傷は許されない” になりましょうか。たしかに一理ありますが、ハッキリ言ってこの記事は0点以下の駄文以外何物でもありません。ブログ主が問題にしたのは、

1.伊是名さんが同事件をテーマにしたブログ記事をアップしたのが4月4日です。同日からネット上では炎上騒ぎが起こっているにもかかわらず琉球新報社は19日にいたるまでこの案件を扱っていないこと。(読者の声の欄にもこの案件の投稿はなし)

2.彼女が社会民主党の常任理事であることに言及していないこと。

の2点です。2の件に関しては次回に譲ることにして、今回は記事掲載のタイミングを “あえて遅らせた” 点について言及します。

4月4日の玉城江梨子琉球新報記者のツイートからも伺えますが、同社は炎上騒ぎが起きていたことを把握していたのは間違いありません。つまりブログ主が言いたいのは、”誰もが行きやすい社会に向け一石を投じた伊是名さんに石が投げ付けられる風潮を放置していいはずはない” と断じた琉球新報が

なぜ炎上直後に伊是名さん擁護の記事を掲載しなかったのか

に尽きます。彼女の行動を “是” と判断しているなら、同月5日の社会面で識者のコメント等を掲載して擁護すべきなのです。以前当ブログで言及したように、報道責任とは “事実を然るべきタイミングで公表する” ことですが、炎上騒ぎから2週間経過した19日に記事を掲載するあたりに同社の “大人の事情” を感じざるを得ません。具体的には彼女の行為には全面的に賛同できる状況ではない、だがしかし

同社にとって “都合のいい障がい者” を守りたい

という下卑た下心が見え透けるのです。”都合のいい障がい者” というキツい言い方にはなりましたが、その傍証として同日社会面の記事には同じ障害を持つ人たちのコメントは一切掲載されていません(電子版では有料記事)。

【識者談話】障がい者の無人駅利用「社会に訴える行動は必要」仲根建作・県脊髄損傷者協会理事長

ちなみに上記有料記事全文も目を通してきましたが、琉球新報社のメンツをつぶさないよう配慮したコメントを提供した仲根氏はさすがだなと思いました。

すこし話はそれましたが、次回は伊是名女史の “政治家としての責任” について言及します。(続く)