シリーズ

前置き・13世紀後半から16世紀末にかけての琉球国の中継貿易について 2

(続き)琉球国からすればこの慣例は邪魔そのもので、しかも京都の足利家*と薩摩の島津家で勝手に決めた政策ですから腹立たしいことこの上ないのですが実力でひっくり返すだけの国力はありません。残念ながら黙って従うしかなかったのです。そのため琉球国側でも薩摩の島津家との関係*は中国大陸の皇帝と同じく重要な課題になっていたのです。

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閑話 強制アップグレード3

1872年(明治5)から3年後の1875年(明治8)に突如明治政府より無慈悲な通達が琉球王府に突きつけられます。その内容は後日詳しく記載するとして、琉球王府は天地がひっくり返ったような大パニック状態になります。特にダメージを与えた項目は

1.琉球藩王尚泰の上京。

2.清国との進貢関係の清算。

になります。これらの通達はアップグレードの予約ボタンをクリック→スケジュール時間通りにアップグレードが実行されるメッセージが表示された状態です。Windows 7を利用している高齢者のPCユーザーがいきなり通知されたメッセージでパニックになるのと同様に、明治政府からの通達に対して琉球王府の官僚たちが大パニックになったことは容易に想像できます。

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閑話 強制アップグレード2

1871年(明治4)の廃藩置県によって薩摩藩は鹿児島県になりますが、その際に問題になったのが琉球国の帰属です。近代国家を形成する上で鹿児島県ではなく中央政府が琉球国を管理する必要があったのです。そこで翌年に琉球王府の高官を上京させて、明治天皇より「国王尚泰を琉球藩王に封ずる」勅書を下達します。

当時の琉球王府の使者はこの勅書を何の疑いもなく受け取ります。今回のWindows 10のアップグレードにたとえるとアップグレードの予約ボタンをクリックした*ことに他なりません。しかも上京中に至れり付くせりの歓待*を受けます

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琉球・沖縄の歴史の概要その4

前述した巴志くんの系統(思紹王統)は7代目の尚徳くん亡きあと、伊是名島出身の内間金丸爺さん*にPC利用権を簒奪されます(下図参照)。金丸爺さんは6代目の利用者の尚泰久くん*の信頼厚き家臣でしたが7代目の尚徳くんに疎まれて隠居せざるを得ない状況になっていました。

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*尚泰久(しょう・たいきゅう:1415~1460)思紹王統6代目の王。在位は1454年から1460年の6年間です。

*内間金丸(うちま・かなまる:1415~1476):伊是名島出身の農民。思紹王統6代目の尚泰久王に見出されて側近として大出世するも7代目の尚徳王からは疎まれて隠居する羽目になります。ただし1469年(応仁3)尚徳王亡きあと群臣の推挙により王位を簒奪することに成功します。

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琉球・沖縄の歴史の概要その3

少し話しそれましたが、最終的にPCユーザーは佐敷の小男である巴志くん*に落ち着きます。中山の系統を乗っ取って、北山くんと南山くんも駆逐することに成功します。PCを初期化(リカバリー)して1つのユーザーアカウントに再セットアップしたと考えてください。

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琉球・沖縄の歴史の概要その2

玉城くんの時代には3人の有力な権力者が存在していましたが、これは1台のPCに3つのユーザーアカウントが存在する状態*と考えましょう。ただし残念なことに肝心の中山の系統は玉城くん以降さっぱりふるわず、5代目のときについに新しい利用者によって乗っ取られてしまいます。それが察度くん*です。

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*便宜上北山、中山、南山の政治/社会制度がほぼ同一であると仮定します。

*察度(さつど:1321~1395)現在の宜野湾市大謝名出身らしい。1350年(貞和6)に中山国の王となります。王統は察度と武寧の2代で1406年に佐敷の豪族である巴志(はし)に滅ぼされます。

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琉球・沖縄の歴史の概要その1

ここからは我が沖縄県民はどのような歴史を経て現在に至ったか、実に強引ですがPCとオペレーティングシステム(OS)そしてPCユーザーに例えて概要を説明します。

・PC=琉球・沖縄
・OS=政治・社会制度
・PCユーザー=歴代の権力者等。ユーザーと記載しましたがここでは所有者でなく主に利用者の意味で使います

琉球・沖縄の通史は17世紀中ごろに編纂された中山世鑑(ちゅうざんせいかん)を始めとしてそれこそ数多くの名著があります。現代ではインターネット検索で琉球・沖縄の歴史の概要を簡単に調べることも可能です。今更ですがブログ主も調子に乗って琉球・沖縄の通史を語ることから始めます。なお数多ある琉球・沖縄の通史および書籍でブログ主が参考にした文献はは以下記載の通りです。

・沖縄県政五十年:太田朝敷(1931)
・沖縄の歴史:比嘉春潮著(1959)
・沖縄歴史散歩:大城立裕(1980)
・昭和の沖縄:琉球新報社会部編(1986)
・ことばに見る沖縄戦後史(上・下):琉球新報社(1992)

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