史料

コザの街エレジー(20) 最終話

基地の街には、今宵もまた、夕闇と共にネオンは輝き、ジャズが流れる……。

くわえ煙草で客を待つ女、道行く黒人に色眼を使う女、光をさけて街角で男の袖を引く女、ガム売りの女の子、物売りのオバサン達、その中をノッシ、ノッシと歩き回るパトロール、昨夜も、今宵も、そして又明暁も、基地という名の怪物のそれは生きのびんとするあがきだ。のたうつ怪物!

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コザの街エレジー(19) 狂死

父に病死され、60歳を超した老母と2つちがいの妹と3人で暮していた千代子(24)は、コザ市諸見のスーベニヤで働いていた。その千代子がいつも店に買い物に来る1アメリカ兵と友達になってやがて結婚したいと母に願った。アメリカ兵はローレンスという軍曹でまだ22歳のおとなしい青年だった。母親の生活も十分にみるというのである。

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コザの街エレジー(18) ウラマチ

コザ市八重島区在バー・フエックス(経営者比屋根セツ子)の女給柳原ナルエ(23)が、同市中之町区の民家の便所に入って首吊自殺をとげた記事は、3日の各紙に僅か数行で片附けられていた。切った、ハッタで殺されてもて、車にしかれてもせいぜい2~3段、まして自ら命をちじめた人のことなんかは数行を費やすのが勿体ないのかもしれない〔。〕

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コザの街エレジー(16) 貸間業

台風フェイで板塀が吹っ飛ばされ、どこかの野良犬が糞をたれていったと三良兄さんは朝からぷりぷりしていた。そこへ、間借りしている君子が、シュミーズだけの寝呆け顔を出し「兄さん!何とかしてよ早く。昨夜、彼と寝ようとして、裸になったとたん、窓でガタっと音がするのよ…。アレッと思ってふりかえると沖縄ボーイがのぞいているじゃないの。コラッてどなるとばたばた逃げていったけど、うちも裸、彼も裸でしょう。追っかけもできずほんとにいやだったワ…」・そう話している所へジャニーがこれは又ショートパンツにブラジャーだけの姿で、休みだという男に抱かれるようにして入って来た。

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コザの街エレジー(13) 質屋

T君がコザで質屋を開いてからもう6年にもなる。PAWN SHOPと看板をかかげ、格子囲いのカウンターの中に座って質草をとる商売も仲々楽ではない。

「もう少し出してくれんか」とカメラを措いて100円でも多く借りようとねばる外人兵。

ハーニー共々やって来て、片身の指輪だから決して流してくれるな、必ずペイデーには取りに来るからと泣きそうな顔で指輪をはずすハーニーさん。

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コザの街エレジー(15) ガム売り

須美子は帰りのバスの中で、ポケットに手を入れて札の感触を楽しんだ〔。〕スカートのポケットの中には300円余りの金が5円、10円、20円がゴッチャになって入っている。須美子が乗っているバスを追随して部隊帰りのタクシーが疾駆する。後から後からまるで何かに追われているように。もう夜中の12時に近い。須美子は後にしたコザの街をふりかえる。1つまた1つとネオンの灯が消えてゆく。

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コザの街エレジー(8) ハーニー族

美代子は「ふうっ」と溜息をついて腰を伸ばした。日中のアイロン掛けは暑くてやり切れない〔。〕ここはコザの或る外人家庭(?)。女主人は洋子さんといって31歳。主人は太っちょの米人で50近い。この家は洋子さんの前の旦那さんが米国へ帰るときに作ってくれたもので、洋子さんの財産であり、そして彼女の城だ。だから洋子さんは今の旦那からは生活費とは別に家賃も計算してもらっているという。

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コザの街エレジー(6) 混血児

「うちのジョージの御嫁さんに貰うから。アケミチャンは可愛いいから。それに御利口さんだし……」「誰がお嫁になんかなるもんか、いやぁだっ。あんなヒージャーミー。」

隣家の6ツになるアケミちゃんの無邪気な言葉に妙子の胸は針がささったように痛かった〔。〕5日程前のひる下り、庭でジョージと遊んでいた隣家のアケミちゃんに、御愛想のつもりで言った言葉が何と不用意な言葉だったかを妙子は今更乍ら悔いた。眼の前ではジョージ・ジョージと可愛がってくれる隣人も心の奥底ではこの母をフシダラと笑っているに違いない。いつも一緒に遊んでくれるアケミちゃん。外の子供たちがいじめてもかばってくれているアケミちゃんがあんなことをいうとは!

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コザの街エレジー(9) アメリカ・ムークー

ロメオが帰国してからもう2カ年になる……。

まるで熱病にかかったように抱きしめて愛をささやいてくれて5年前の彼、バクチに負けて1カ月の給料の大半をなくしてしよげていた彼、子供ができてからの冷たかった彼、それでも帰国する時は泣いて再会を誓い合った悲しみ……愛憎を超えて、過去の想い出の1コマ1コマが脳裏をよぎる。

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基地の街エレジー(4) 夜の女

◎…夜のとばりが下りはじめ、街にネオンが灯るころ真赤な唇と白い顔の妖女たちがどこからともなく現れる。そこはコザの特殊地帯A通り。B子はこの通りの奥に住んでいる。女教員風な感じのするズングリした女である。彼女(仮にB子としておこう)は他の女に比べて決して悪どい客引きをする女ではない。ただ男の近づくのを待っている。他の女からは離れて壁にヤモリのようにくっついて…。取締りの警官をケイカイしているのだろう。この商売も楽ではなさそうだ。

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基地の街エレジー まとめページ

昭和32年(1957年)9月13日から全20回にわたって琉球新報で掲載された “基地の街エレジー” のまとめ・解説ページを作成しました。理由は、当時の時代背景をある程度説明しておかないと、記事内容を理解できないのではと考えたからです。

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基地の街エレジー(2) ガム賣り

基地も街だからって米人相手のバァーやキャバレーばかりがあるわけではない。コザ十字路の北方に吉原という一画がある(正確にいうと美里村吉原区)。センターや、八重島、島袋、諸見などが11時で1日の仕事に終りをつげ、大戸を下すころ、こゝ吉原の街はようやく目をさます。中部の客だけでなく、遠く那覇から宴会帰りの客が押しかけ中々の繁昌ぶり。酔客が千鳥足で窓々の娘達を冷かす中、夜は更けてくる。

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基地の街エレジー(1) 街角の女

夜更けの街角、詩になるようなこの言葉も中部の街で拾うと、面白い、おかしい悲しいエピソードの数々となってくりひろげられる。一言に基地の街とはいっても、そこに住んでいるのはやっぱり私たちの仲間だ。昼働く仲間、夜働く仲間、あすのために働く仲間の奏でる「基地の街・エレジー」にしばし耳をかたむけてみよう。

裏通りのオデン屋……その名はゆき子(26)。コクハイのグラスを右手にドロンとした赤い眼を向け、しんみりとした口調で訴えるように、あざけるように長々と語る。

私にだって青春が……短い青春だったが……あったんだ。中学を卒えた年、すぐ軍の洗濯女になり、小さい体で一生懸命働いたよ。

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〈透視鏡〉基地負担へ県が「外交」

軍事力の強化を続ける中国への対応を念頭に、日米の軍事一体化が加速する中、県は基地が集中することによる沖縄の軍事的な脆弱さなどを対外的に発信し、分散化を求める戦略を立てている。それと同時に2022年度以降、アジア太平洋地域の国々へ働き掛け、協力関係を構築していく構えだ。

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祖国復帰は沖縄県民自身が選び取った歴史です

新年明けましておめでとうございます。今年は、沖縄県が日本に復帰して50周年という節目の年でございます。

50年前に祖国復帰の瞬間を沖縄で迎えた方も多いと思います。一方、大学進学や就職によって故郷沖縄を離れ、ニュースなどで沖縄が日本に復帰した瞬間をご覧になった方もいらっしゃると思います。

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