ユタあるいはユタコーヤーの慣習は現代にも存続しています。その根底には現代人にも呪術に対する憧れと恐れの感情があるからです。呪術的思考の克服は琉球王国(あるいは琉球藩)の時代であろうと現代であろうと至難の業で、氏育ちや学歴に関わらず呪術にどっぷりはまる人は珍しくありません。
なぜユタを信じるのか(友寄隆静著、月刊沖縄社、1981年刊行)で、著者は実際に14人の現役ユタにインタビューを試みています。そのなかで一番笑えないエピソードが「夏休みになると教師の予約でギッシリ」というくだりです。ユタは「看板のない商売」ですので、口コミあるいは紹介を経てウグァン(拝み)を依頼するのが一般的です。現代ではウグァン(拝み)のWeb予約もできますが、当時は口コミなど情報入手の手段は限られています。 それでも予約が殺到するところに沖縄社会のユタ問題の闇を感じます。